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酒1杯でAFリスク8%増 【米国心臓病学会】

米国心臓病学会(ACC)は7月14日、適度な摂取量でもワインや強い蒸留酒の摂取が心房細動(AF)のリスク要因となり得ることを示した研究を紹介した。ビールではこのような関連性は見られなかった。Journal of the American College of Cardiology誌に掲載。

 研究では、1997年にスウェーデンで実施した食べ物と飲酒に関する大規模アンケート調査の対象者7万9016人(45-83歳)を12年間追跡調査。そこで判明したAF患者7245人について分析したところ、アルコール多量摂取(3杯以上/日)と短時間の大量摂取がAFと関連するというこれまでの研究と一致する結果に加え、中程度の量(1-3杯/日)でもワインや強い蒸留酒の摂取でAFリスクが増加することが示された。

 また、類似した6つの前向き研究の結果と併せて補助的にメタ分析すると、アルコールの種類にかかわらず、摂取量が1日に1杯増えればAFリスクは8%増加し、ワインや蒸留酒も短時間での大量摂取(5杯以上/回)がリスクの増大につながることが分かった。

 一方、ビール摂取とAFリスクの関連性は認められなかった。これについて本研究の主執筆者Susanna C. Larsson氏は、ワインや蒸留酒は週末に集中して摂取することが多いが、ビールは日常的に分散して摂取する傾向があるため、その関連性が現れにくいのではないかと推測。また、少量や適度なアルコール摂取は虚血性心疾患や脳卒中など心臓に有益であるという研究は多くあるが、潜在的なAF発症リスクと有益性のバランスが重要であると指摘している。

 過去の研究では、心機能低下や上室性不整脈を伴う拡張型心筋症などAFを引き起こし得る症状とアルコール摂取量との関連性が示されている。前向き調査を実施すれば、飲酒量とともに他の関連性や条件が見つかる可能性もある。