補綴治療により歯の機能を回復しようとする人は多い。しかし、不適合補綴により咬合に問題が起こると味覚障害を引き起こすと、日本歯科大学名誉教授の丸茂義二氏は指摘している。丸茂氏が歯科医300人を対象に行った実験によると、天然歯列に異なる咬合の装置を入れて、同一の料理や飲料を試食した場合、咬合の種類によって大きな違いが発生したという。この原因について丸茂氏は、咬合様式の時系列的な変化と不適合な補綴の関係をあげている。本来、人は年齢を重ねると、咬合様式が犬歯誘導からグループファンクション、片側性平衝咬合、両側性平衝咬合へと移行するのが自然な流れとのこと。そこで、その時点での咬合様式から逆行するような補綴治療を行うと、違和感につながるのだという。