第13回警察歯科医会全国大会(日本歯科医師会主催)が23日、徳島市内のホテルで開かれた。警察歯科医とは警察からの要請を受けて協力する歯科医で、大会には全国から歯科医や警察、大学の関係者ら約500人が参加。南海トラフ巨大地震が懸念される中、大規模災害や事故発生時における身元確認体制の整備や、遺族へのケアの重要性などについて議論を深めた。【阿部弘賢】
今年は「人が受ける最後の医療~警察・医科・歯科の連携」がテーマ。開会式で県歯科医師会の和田明人会長が「他職種との連携を深めることで被害を最小限にする『災害対応力』を向上させる機会に」とあいさつした。
講演では、神戸赤十字病院(神戸市)の村上典子心療内科部長が、2005年4月のJR福知山線脱線事故を機に取り組んでいる、災害や事故などで家族や愛する人と死別し、悲嘆する遺族を支援する「グリーフケア」の大切さを紹介した。
大規模自然災害の場合、大切な人の死だけでなく、家や思い出の品物、仕事、地域コミュニティーなど多くのものを同時に喪失することが多く、村上部長は「悲嘆の反応には個人差がある。共感を持って話を聞き、遺族がある種の納得を得ることが大切」と訴えた。
大会では、歯科所見による身元確認の研修会や、各団体の取り組みを紹介するポスターセッションなどもあった。