厚生労働省は3日、介護サービス事業所の今年3月の経営実態を調査した結果を発表した。収入に対する利益の割合である「収支差率」は、大半のサービス類型で5%を超えた。厚労省は「おおむね安定的な経営と言える水準だ」と分析。2015年度の介護報酬改定の基礎資料となり、引き下げを求める圧力が強まりそうだ。
職員の給与は一部を除いて3年前調査に比べて改善した。処遇改善に取り組んできた効果が一定程度出た。
収支差率が10%を超えたのは、認知症グループホーム(11・2%)や通所介護(デイサービス)(10・6%)など。特別養護老人ホーム(特養)は定員30人以上の施設で8・7%、定員29人以下の小規模施設でも8・0%と高い水準だった。
ケアマネジャーが介護利用計画を作る居宅介護支援は、前回より1・6ポイント上がったもののマイナス1・0%と低迷。12年4月に新たに始まった「24時間地域巡回型サービス」も0・9%と低かった。
看護と介護の職員の平均月給は、定員30人以上の特養では約32万6千円と3年前から約2万2千円増えた。訪問介護は約3万5千円上がって約25万9千円、通所介護も約3万円増の約25万7千円だった。一方、介護型療養病床では約3千円下がって約34万円となった。
調査は全国の3万3339事業所を対象に実施。うち48・4%に当たる1万6145事業所から有効回答を得た。
※介護報酬改定
介護サービスを提供する事業者に支払われる費用の公定価格の見直しで、原則3年に1度実施される。報酬が上がれば、介護現場は質の向上につながると期待する一方で、利用者や国の負担が増え、保険料のアップにもつながる。2015年度の改定では、不足する介護職員の確保に向け、どれだけ賃金の改善につなげられるかが焦点となる。