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高齢者への肺炎球菌ワクチン

日本人の死亡原因の第3位は肺炎です。しかも肺炎による死亡は高齢化が進むにつれて増加傾向にあります。高齢になると、むせやすく、咳(せき)をする力が弱まるので、気管にばい菌が入り易くなります。その結果、肺炎が増えるのです。

 肺炎はさまざまな病原体で生じますが、中でも肺炎球菌が全体の約3割を占め、原因菌としては最多です。この肺炎球菌による肺炎を予防しようと、今年10月から全国で高齢者の方を対象に肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されました。過去に国内で行われた調査では、このワクチンは肺炎の発生を明らかに減少させることが確認されています。今回の定期接種によって、多くの人が接種すれば、肺炎による死亡者の減少が期待できます。

 ただ、良いことばかりではありません。第一に、ワクチンにつきものの副反応が軽微なものを含めると全体の数%に生じます。ただ、その頻度は、皆さんが毎年打たれているインフルエンザワクチンと同じ程度と考えられます。第二に、肺炎球菌以外の病原体には効果がありません。ワクチンを打ったから肺炎にならないというわけではありません。

 肺炎球菌ワクチンは、一回の接種で免疫が5年程度持続します。季節性インフルエンザワクチンのように毎年接種するわけではないので気をつけてください。

 肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象はその年度に65歳の誕生日を迎える方となります。ただし、今後5年間は経過措置期間と定められており、65歳以上の高齢者を65・70・75歳……と5歳刻みで接種対象とし、今年度から2018年度にかけて、すべての高齢者を定期接種の対象とする制度となっております。対象となる年度においてのみ助成の対象になります。なお、60歳以上65歳未満の心臓、腎臓、呼吸器に高度障害がある方なども対象となります。逆に、過去に肺炎球菌ワクチンを接種されている方は対象外です。

 詳細をお知りになりたい方やご不明の点がある方は、皆さんの住んでおられる市町村役場にお問い合わせください。