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必要とされるだから心は豊か 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

1994年、27歳で全身の筋肉が衰えてゆく難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された北見市のAさん(48)は、手足を動かしたり会話することが急速に困難になり、気持ちがふさぎ込んだ。33歳で仕事も辞めた。だが、家族の支えや同じ病気の患者と知り合い、気持ちが前向きに変わっていった。
 食べ物が誤って気管に入り、苦しむことが増えました。「誤嚥」と言います。08年ごろには、好きなクリームパスタはクリームがのどにまとわりつきやすく、うどんなどめん類は吸い込む力が足りなくて食べられなくなりました。窒息する危険もありました。栄養を体に入れるために、10年におなかに穴をあけ、胃の直接栄養を入れる管を取り付けました。「胃ろう」と言います。それ以上に悩んだのは、呼吸する力が失われてゆくこと。死なないためには、のどの気管を切り開き、人工呼吸器を取り付けるしかありません。すると声を出すことができなくなり、たまったたんを多い時で数分置きに吸引してもらうのです。
 声はすでにほとんど出せなくなっていましたが、たんの吸引のために深夜も含めてだれかに付き添ってもらう必要があります。「そうまでして生きていくのか。おれが生きる意味って何だろう」。1年半、悩み続けました。北海道新聞 2015.1.14