高齢者で医療関連感染による感染性心内膜炎が増えているのはなぜでしょうか。先ほど高齢者では危険因子が集積しているといいました。その集積している危険因子は何かというと、まずは変性による弁膜症です。加齢による弁の石灰化が大きな原因といわれています。それから高齢になるほど不整脈デバイスの植え込みなどを受けている患者さんが増えますね。徐脈性の不整脈が増えてペースメーカーを植えこまれたり、心室頻拍や心室細動に対するICDを装着している患者さんが増えてくるわけです。
そして、高齢になるほど、病院に行く、あるいは入院する頻度も高くなるので、医療関連感染による感染性心内膜炎が増えるわけです。それから、これは根源的なことですが、年を取ると免疫能が下がってくることも関係するといわれています。こういった複数の要因が高齢者の感染性心内膜炎増加の原因となっています。高齢者の感染性心内膜炎は大動脈弁疾患が多く、院内死亡率が25%程度といわれています。発症すると4人に1人は亡くなってしまうわけですね。