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みんなの○○ 救命・応急手当て 蘇生編 胸骨圧迫と人工呼吸繰り返し

倒れている人に普段通りの呼吸がなかったら、心肺蘇生が必要だ。手当ての要点を東京防災救急協会の大久保雄司さん(64)に聞いた。

 (1)胸骨圧迫を行う

 胸骨の上から心臓を押して血液を循環させ、脳に酸素を送り込む手当てだ。左右の乳頭の中間付近に、手のひらの厚い部分を胸骨(のどの下から胃の方へ延びる骨)に当て、他方の手を重ねる。肘を伸ばして真上から、胸が毎回少なくとも5センチ沈むくらい強く、1分間に少なくとも100回のペースで押そう。

 「救急車が来るまで絶え間なく続けて」と大久保さん。周囲に人がいれば交代しながらやろう。強く押すと胸骨が折れることもあるが、「骨折は後で治る。とにかく蘇生を優先してください」。善意の処置中なら過失は問われない。

 (2)可能なら人工呼吸も

 胸骨を30回押したら、1秒の人工呼吸を2回――できればこれを繰り返したい。

 顔にかぶせるシートと一体になった人工呼吸用のマウスピースを、倒れた人の口に差し込む。その人の鼻の根元をつまんで塞ぎ、逆の手の指2本であごを上げ気道を確保。そして口を大きく開け、倒れた人の口全体を覆うように密着させて、胸が上がるのを確かめながら1秒間、静かに息を吹き込む。これを2回。「強く大量には吹かないで」。吹き込む息が多すぎると胃に空気が入り、吐いてしまう。

 マウスピースは病気等の感染を防ぐために使う。「ない時や、出血や嘔吐(おうと)をしていれば、人工呼吸をせず胸骨圧迫だけで構いません」。インターネット通信販売などで安価で買えるので、お守り代わりに携帯しておくといい。

 (3)AEDを使用する

 自動体外式除細動器(AED)があれば、胸骨圧迫を続けながら使おう。心臓が無秩序に震えて機能しない状態の場合に、電気ショックを与えて回復させる。機械の音声指示に従って操作すればいい。体から離れるよう指示が出た時は必ず従う。

 実際の場面でも慌てないためには、救命講習の受講がお勧めだ。3時間の普通救命講習では胸骨圧迫、人工呼吸、AED使用法などを体験でき、8時間の上級救命講習なら乳幼児の心肺蘇生や、けがの手当てなども教われる。日程や料金の問い合わせは最寄りの消防署へ。東京都内なら東京防災救急協会(03・5276・0995)でも受け付けている。