東京消防庁は25日、事故や災害現場に居合わせてけが人らの手当てをした人が感染症にかかるといったトラブルに遭った場合に、保険金が支払われる制度を2015年度中に導入すると明らかにした。ためらわずに安心して救命措置に関わってもらうことで、傷病者の生存率を高める狙いもある。
同庁によると、急病人や負傷者が出た際に、たまたま近くにいた人は「バイスタンダー」と呼ばれる。同庁の13年の統計では、心肺停止時にバイスタンダーが応急手当てした場合は約14%が生存し、しなかった場合の3倍以上となった。
救急車の出動が年々増加するのに伴い、救急隊の到着時間は09年には6分強だったのが、13年には8分弱と遅くなっており、バイスタンダーの関与が生死を分けるケースも想定される。
13年は、4割のケースでバイスタンダーが自動体外式除細動器(AED)などを利用し、救命措置を実施。一方で、ためらう理由として「責任を取れと言われるかもしれない」「感染症を避けたい」というアンケートの回答もあったという。
同庁の担当者は「早い心肺蘇生処置があれば生存率が高くなる。ぜひ応急救護をやってほしい」と話している。