84歳の女性。2年ほど前から食後の激しい嘔吐(おうと)に悩まされてきました。ひどい時は3、4日、水分もとれず、点滴を受けるほどでした。内視鏡検査では胃に異常はなく、逆流性食道炎と診断されました。薬で小康状態を保っていますが、また起きないかと心配です。(神奈川県・S)
■答える人 鈴木秀和(すずきひでかず)さん 慶応大学准教授(消化器内科)=東京都新宿区
Q 逆流性食道炎とは。
A 胃から胃酸や食べ物が逆流して、食道に炎症を起こした状態です。主な症状には胸やけや胸の痛み、げっぷ、嘔吐(おうと)があります。「酸っぱい味がする」と言う人もいます。相談者のように、食道の下に炎症のない場合も含め、総称して「胃食道逆流症」と呼びます。男性では中年以降、女性では更年期以降によく見られます。
Q 原因は。
A 胃の動きが悪くて食べ物が十分にためられない時や、胃から十二指腸に食べ物が下りない時に、起きやすくなります。胃や食道の筋肉がゆるんでも起きます。肥満や猫背の人もおなかに圧力がかかり、逆流症状が出やすくなります。
Q 調べる方法は。
A 内視鏡で食道の炎症の有無をまず調べます。胃や食道、十二指腸などに腫瘍(しゅよう)があって食べ物を通りにくくしていないかも確認します。
Q 治療法は。
A 胃酸を減らすプロトンポンプ阻害薬を使うのが一般的です。ほとんどの人が改善します。胃もたれやげっぷがつらい人には、胃の動きをよくする薬を使います。
Q 相談者は再発しないか心配しています。
A 薬で症状が治まっても、不適切な食生活を続けていると、ぶりかえす可能性はあります。どんな時に症状が出たかや、食べた物、量を毎日記録すると、見直す点がわかってきます。規則正しく食事をとり、食後3時間は横にならないようにします。あんこや生クリーム、チョコレート、サツマイモ、穀類など糖分・油分が多い食事は避けましょう。食べ物は細かく刻むと消化しやすくなります。