歯科医療での保険給付範囲の拡大などを求めている団体「保険で良い歯科医療を」大阪連絡会代表世話人で歯科医の戸井逸美さんが名古屋市内で講演し、大阪府内の中学校で昨年度実施した歯科治療調査の結果を報告した。学校検診で「受診が必要」と診断されたのに、歯医者で受診しなかった生徒は74%に上り、一部は経済的な事情から受診できなかったと解説した。
同連絡会は昨年度、小中学校で調査。小学校でも、受診が必要と診断されたのに、未受診は51%あった。養護教諭に聞いたところ、親の貧困や教育能力不足、育児放棄などが個別に未受診の原因として浮かんだ。戸井さんは「健康格差がある」とし、「親の責任に矮小(わいしょう)化しないことが大事だ」と訴えた。医療費助成制度の拡充▽保護者や児童への啓蒙(けいもう)▽学校と行政・地域との連携▽学校から歯科治療につなげる仕組みづくり――などを改善策として提案した。
講演は「保険でより良い歯科医療を」愛知連絡会の定期総会の一部としてあり、56人が参加。県内の養護教諭や歯科医も現状報告した。