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水の味 微量成分でおいしさ

人の味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五つの基本的な味の組み合わせで形作られます。味覚は口に入る食べ物などの成分、特に体に必要な栄養素を見分けるのが目的です。三大栄養素である糖質などは甘味をもたらします。タンパク質は、その成分であるアミノ酸が甘味や酸味、うま味を感じさせます。通常、飲料水や水道水からは五つの基本的な味を感じることはありません。一般に水は無味無臭ということになっています。でも、水の味を感じることもよくあります。なんといっても、のどが渇いたときに飲む水はおいしいものです。水自体に味があるのか、純粋な水である蒸留水を飲んでみるのですが、実は全くおいしくありません。味がないのではなく、まずいのです。
 水のおいしさのもとは、飲料水に含まれるミネラルなどの微量な成分なのです。微量なので塩味も苦味も感じないのですが、でもそれがないと、水の味にならないのです。さらに、水の温度や舌触りもおいしさを感じる要素になっています。程よく冷たい水はおいしく感じます。体に必要不可欠だから、水には確かな味があるのです。
                           北海道新聞 2015.5.25