症例
51歳の女性、鼻出血の増加と痂皮から完全閉塞+口腔潰瘍
暫定診断は?
患者 51歳女性
主訴 鼻出血、口腔潰瘍(有痛性:痛みの評価スケール8/10)
既往歴 橋本病、脂質異常症、偏頭痛、3年半前に一過性脳虚血発作(TIA)を発症。
生活歴 既婚、子供2人。喫煙なし、機会飲酒程度。オフィス仕事。
家族歴 母親と姉妹がセリアック病を罹患。また、姉か妹が強皮症。
現病歴
3年ほど前より両側の鼻血が出現。間欠性の咽頭痛と血痰、および鼻の痂皮を伴うが、鼻漏はなし。鼻中隔の活動性の出血を確認し、硝酸銀で焼灼も出血が持続。
症状出現から6カ月後の経鼻内視鏡検査で、鼻の痂皮と粘膜炎、鼻腔の癒着を確認。腫瘤、ポリープはなし。
その3カ月後の鼻前庭部の生検で癌を否定。プレドニンの漸減療法で鼻症状の部分的改善を確認するも、20カ月後には完全に鼻の通り道が閉塞。
1年前より頬粘膜と舌に潰瘍が発症。その後、4カ月に渡り鼻出血の増加と痂皮、副鼻腔のうっ血が継続。
8カ月前にリウマチ科を受診。呼吸困難と疲労、耳閉塞感、7Kgの体重減少、舌の潰瘍を確認。
5カ月前に直腸出血によりCFを実施し、2個の潰瘍を確認。炎症はないが、痛みスケール8と強く、オメプラゾール、コルヒチン、ビタミンBの処方でも改善せず。反復性の鼻出血と下部胃腸出血、疲労、睡眠不足、関節痛、肘や足の間欠的痛みを確認。紅斑や熱感、膨隆はなく、脱毛症やぶどう膜炎、外陰部潰瘍、肛門周囲瘻孔はなし。
検査所見
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)が291UI/mL、抗二本鎖DNA抗体は陽性。
バイタルは正常で、電解質レベル、腎機能、肝機能、血清、たんぱく、電気泳動、ともに正常
梅毒、リウマトイド因子、抗核抗体、ANCAは全て陰性。
RO抗体、LA抗体、SLE抗体、リボヌクレオチドタンパクは陰性で、ASCAは陽性。
胸部CTで食道裂孔ヘルニアを確認。