フットサル関東1部リーグに所属し、千葉市が本拠地の「FCmm」の田中奨さん(22)が、試合中にボールが胸を直撃して心肺停止となりながらも、AED(自動体外式除細動器)によって一命を取り留めた自身の経験から、AEDの使い方講習会を東京都墨田区の「フットサルポイント両国」で開いた。
講習会は今月5日に開催され、約20人が参加。練習中に急性心筋梗塞(こうそく)で急逝したサッカー元日本代表DF、松田直樹さんの功績を伝えている一般社団法人「松田直樹メモリアル」顧問の山口幸伸さん(39)が講師を務めた。患者が発生して救急車の出動を要請し、心臓マッサージをしつつ、AEDを活用する想定で、AEDの音声に従いながら使用方法を学んだ。山口さんは「直樹のような事故が現実にたくさん起きている。こういう機会にAEDの使い方を覚えてほしい」と語った。
田中さんは今年5月、都内で試合中に事故に遭ったがAEDで救われ、「僕のように助かる人がもっと増えてほしい。これからも講習を続けていきたい」と話す。
田中さんの高校の同級生で、事故当時に会場に居合わせた葛飾区の歯科衛生士、宮良里沙さん(22)も講習会に参加。「目の前で田中さんが倒れて、頭が真っ白になって何もできなかった。後悔したので講習に参加した。次はAEDを使えると思う」。夫婦で参加した豊島区の会社員、小沼誠さん(37)は「1%でも救える可能性があるなら、やれることはやってみようという気持ちになった」とAEDの意義を感じていた。