長野県弁護士会は21日、長野刑務所(長野県須坂市)で、歯痛を訴えた男性受刑者が、約5か月間治療を受けられなかったのは人権侵害に当たるとし、医師を確保するなどの処遇改善を行うよう、同刑務所に勧告したと発表した。
勧告は6日付。
勧告書によると、男性受刑者は2014年4月から歯の痛みを再三訴えたものの、対応は鎮痛剤の交付のみで医師の治療を受けられたのは同年9月だった。同刑務所は弁護士会の照会に対し、歯科治療の希望者は増加傾向で、待ち日数が平均268日と回答した。
弁護士会の一由貴史弁護士は記者会見で、「予算の制約を考慮しても、受刑者の医療を受ける権利を侵害したものと言わざるをえない」と述べた。同刑務所は読売新聞の取材に、「刑務所としても昨年から診察日を増やすなどの対応をとった。引き続き適切な措置に努める」としている。