消費者庁が9月16日に発表した高齢者の誤飲・誤食事故情報で、薬剤の包装に絡む事例が最多を占めることが分かった。同庁が発足した2009年からの約6年で計165件の事故情報が寄せられ、このうち41.8%(69件)が内服薬のPTP包装シートなどの誤飲によるものだったという。同庁では、PTP包装シートを1錠単位で切り離さないなど、事故防止へ注意を呼び掛けている。
消費者庁に65歳以上の高齢者が食品以外のものを誤飲したという事故情報は、2009年9月‐15年7月に165件寄せられ、このうち25件は入院治療を要したという。年代別では75‐79歳、80‐84歳で事故が多く見られ、内服薬などの包装を誤飲した事故69件のうち、53件はPTP包装シートを占めた。他には、洗剤や洗浄剤26件、部分入れ歯17件、乾燥剤11件などと続いた。
PTP包装シート誤飲の具体的な事例では、60歳代の女性が夕食後に内服薬をシートごと誤飲し、嚥下時の違和感が続くため医療機関に訪れて内視鏡で除去したが、経過観察のため入院した。別の事例では、90歳代の男性が朝食後に家族が切り取って渡した内服薬をシートごと飲み込み、喉につかえた感じがあったため救急車で来院し、胃カメラで食道から回収した。
同庁では、PTP包装シートを飲み込むと喉や食道、腸などの人体内部を傷つけたり穴を開けたりして重大な傷害を招く危険性や、検査をしてもX線を透過するため、発見が遅れて重症化する恐れがあると指摘している。高齢者は視覚、味覚などの身体機能や判断力の低下などで誤飲、誤食リスクが高まる可能性があるとして、薬のPTPシートを1錠ずつ切り離さないことや食品、薬とそれ以外のものは分けて保管することなど、事故防止策を講じるよう注意を喚起している。