岡山大歯学部と同大学院医歯薬学総合研究科は、がんや事故で舌を切除した患者の発音を支援する装置を新たに開発した。さらに、岡山大病院に「夢の会話プロジェクト外来」を新設。診察から装置の製作、リハビリまで一貫してサポートする態勢を整えた。
舌の大部分を失うと「カ」「サ」「タ」「ラ」などの発音が不明瞭になる。装置を付けると改善し、聞き取りやすくなるという。同科の皆木省吾教授らが、入れ歯などの素材を使って開発。舌がんで舌の約4分の3を摘出した同科の小崎健一教授がテストし、改良を重ねて実用化した。
従来品は上あごに装着し、短くなった舌を補助するだけだった。皆木教授らは下あごに取り付けることで、切除後わずかに残った舌の動きをとらえ、発音を助ける仕組みにした。食事の妨げにならないよう、簡単に取り外せるようにした。
既に小崎教授と患者1人が利用し、3人目の装置も製作している。今後は工学部と連携し、音声をデジタル処理して発音をより明瞭にする装置の開発にも取り組むという。皆木教授は「基本構造は世界初と言っていい。ノウハウを広く公開し、症例を増やしていく」と話す。