小中学生の歯の矯正を特別価格で行うと宣伝していた札幌市内の歯科医院が2015年4月に閉院し、治療中だった患者の保護者が男性院長と連絡を取れなくなっていることが12日に分かった。治療開始時に10万円以上を前払いした人もいて、札幌市保健所には4月以降、延べ49件の相談が寄せられている。
連絡が取れないのは、札幌市中央区で2005年に開業した歯科医院の院長。同医院は、13年から15年3月にかけて札幌市内で配布されるフリーペーパーの広告で、一般的に保険外診療で20万円以上はかかるとされる矯正費用について、「特別価格」として小学生12万8千円、中学生19万8千円(いずれも税別)と掲載していた。
中学1年の長女(12)が同医院で矯正の治療を受けていた札幌市中央区の男性(44)は、14年夏の治療開始時に一括で約14万円を支払った。他の保護者とともに治療費の返還を求め、弁護士に相談することも検討している。患者が放置されている状況について、市保健所は「医療法上の違反はなく、保健所に指導する権限がない」と話す。