初期のアルツハイマー病患者を対象にした新薬の臨床試験(治験)で、患者の脳に蓄積するたんぱく質「アミロイドβ」を減らすことができたと米バイオジェン社などのグループが、1日付英科学誌ネイチャーに発表する。認知機能の低下を防ぐ効果については、さらに大規模な治験で確認する必要があるという。
治験の対象は、初期のアルツハイマー病または軽い認知障害のある人で、脳にアミロイドβの蓄積が確認された165人。2グループに分け、新薬「アデュカヌマブ」と偽薬(プラセボ)による治療を1年続けた。その結果、薬の量が多いほど、脳のアミロイドβを減らす効果が高いことを陽電子放射断層撮影(PET)による画像で確認した。薬の量が多いほど、認知機能の衰えを抑えることも示されたが、効果については、現在進行中の大規模な治験で確認していく。
治験では、定期的な脳の画像検査などで、安全性に配慮しており、20人は脳浮腫や頭痛などの副作用のために治療を中止した。
アミロイドβを標的にしたアルツハイマー病薬の開発はこれまで失敗続きだった。病気が進み、神経細胞が減った患者を対象にしたことが主な原因と考えられており、早い段階を対象にした複数の治験が行われている.