疫学調査によると罹患(りかん)率は26・1%、約4人に1人が酸蝕症といわれています。酸によって歯の表面がすり減り、なめらかになったり、歯の色の黄色味が強くなったり、歯のつやがなくなったり、奥歯がクレーター状に穴があいたり、歯の先端がかけたりするのが酸蝕症です。
昔、メッキ工場やバッテリー工場などであった、酸性ガスの影響で歯の表面が溶けたようになる職業病も酸蝕症の一種です。
現在考えられる原因には逆流性食道炎や過食症、アルコール依存症による自発的反復性嘔吐(おうと)による胃酸の影響がありますが、この場合、内科受診が必要となります。
最も多い原因は酸性飲食物の過剰摂取によるものです。酸性飲食物とは炭酸飲料、スポーツドリンク、ヨーグルト、酢、柑橘系果物、梅酒などがあります。健康に良いと考え、日常的に摂取しているものが歯を弱める原因になることもあるので注意が必要です。
予防法は酸性飲食物摂取後、まず数回お水でうがいをし、口の中の酸を洗い流して下さい。虫歯予防のためにはすぐ歯磨きをする方がいいのですが、酸性飲食物摂取後すぐは、酸によって歯の表面が軟らかくなっているため、唾液で口の中の酸性度が回復するのを待ってから(摂取後約30~60分)歯を磨くようにしてください。
他にもかみしめ癖や磨きすぎなどが酸の影響と重なり、症状を著明にすることもあります。
酸蝕症の進行は緩やかなことが多く欠損が大きくなって気付くことが多いので、心当たりのある方は歯科医院でご相談されることをお勧めします。