全日本民主医療機関連合会(民医連)は31日、経済的な理由から国民健康保険料が払えずに「無保険」状態だったなどの理由で医療機関での受診が遅れ、死亡した人が2016年に28都道府県で58人に上ったと発表した。担当者は「全国の医療機関の数からみれば氷山の一角。受診遅れを防ぐため、行政などの相談体制の拡充が必要だ」と話した。
民医連は加盟する病院や診療所など計641施設に、経済的事情などから受診が遅れて16年に亡くなった人の事例の報告を求め、回答をまとめた。58人の内訳は男性45人、女性13人だった。
死亡した人のうち無保険は22人。保険料を滞納し、全額自己負担となる「資格証明書」の発行を受けていたのは7人、滞納で有効期間が短くなる「短期保険証」を持っていたのは5人だった。残る24人は、保険証はあったが自己負担分の医療費が払えない人など。
雇用形態でみると、無職45%、年金受給者22%、非正規雇用21%。都道府県別では、福岡の9人が最多。東京が6人、大阪、鳥取が各4人、埼玉が3人などだった。
保険料が払えず保険証の有効期限が切れていた1人暮らしの60代の無職男性は経済的に困窮し、所持金は100円、携帯電話が止められていた。手遅れの状態で入院し19日目に死亡したという。