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レセプト分析、健康指導 医療費適正化へ 川崎市

川崎市は2017年度から、生活保護受給者のレセプト(診療報酬明細書)データを分析し、医療費の適正化や健康管理に活用する事業を始める。適切な健康指導を行うことで、糖尿病など生活習慣病の重症化予防を図り、複数の病院を受診する「重複受診」や必要以上に病院に通う「頻回受診」の適正化につなげる。

 市の生活保護費は近年、高止まりしており、2015年度決算で年約596億円。このうち受給者の医療費を全額公費で賄う医療扶助費は約249億円を占め、今後の高齢化の進展でさらに増える見通しだ。

 市によると、受給者の医療扶助費についてはこれまでもケースワーカーらが指導してきたが、疾病名ごとの分析はできていなかった。

 新たな事業は、受給者約3万2千人の病名や受診内容、処方薬などのレセプトデータと健康診断結果の分析を民間業者に委託。指導が必要な受給者を抽出した上で、ケースワーカーや区役所の地域みまもり支援センターの保健師らが医療機関と協力し生活改善を含めて対応していく。

 17年度予算に事業費約1200万円を計上した。市生活保護・自立支援室は「より精度の高い、疾病ごとの詳細なデータ分析によって健康管理を支援できる。健康寿命が延伸できれば、医療扶助、介護扶助を抑制することになる」としている。

 市は後発医薬品の利用や重複受診の適正化を最大限図れた場合、医療扶助費の抑制効果を年2億2500万円と見込んでいる。