口の中にいる歯周病菌が、胃などを経由して腸に届き、腸内細菌のバランスに影響を与え、関節リウマチを悪化させるメカニズムの一端を、新潟大や理化学研究所のチームがマウスを用いた実験で突き止め、31日付の英科学誌電子版に発表した。
新潟大の山崎和久(やまざき・かずひさ)教授(歯周病学)によると、人でも同様の仕組みが働いている可能性がある。「口内の細菌を調べることで、全身の健康がチェックできる手法の開発につなげたい」と話した。
関節リウマチは、指や膝などの関節の骨に痛みや変形が生じる病気。症状の悪化に歯周病が関係していることは明らかになっているが、詳細な仕組みは分かっていない。
チームは、2種類の歯周病菌を口の中に投与したマウスにそれぞれ関節リウマチを発症させ、菌を投与せずリウマチを発症させたマウスと比較。その結果、一方の菌を投与したマウスだけ、手足の指の炎症が悪化していることを確認した。
ふんを調べると、この菌を与えたマウスでは、腸内細菌のバランスに変化があった。腸の組織では、炎症を引き起こす特殊なタンパク質の量が増えていた。
山崎教授は「腸内環境の変化でこのタンパク質が増え、関節まで届いてリウマチを悪化させるのだろう」と推測した。