中等度以上の歯周病を合併する高血圧アットリスク例への歯周病強化治療により、標準的なケアに比べ、有意な血圧低下が得られたとのランダム化比較試験(RCT)の成績が明らかになった。米国心臓協会(AHA)が2017年の年次学術集会における発表演題を紹介した。
研究グループは中等度から重度の歯周病を有する高血圧前症の中国人男女107人を歯周病の標準的ケア(基本的な口腔衛生指導および歯肉線までの歯石除去)または強化治療(標準治療に加え、歯石を歯根まで局所麻酔下で除去し、必要に応じ抗菌薬治療や抜歯を施行)をランダム化割り付けし、その後の血圧の変化を比較した。
治療1カ月時点から強化治療群の収縮期血圧(SBP)が約3ポイント低下。拡張期血圧(DBP)の有意な低下はなかった。3カ月時点では、強化治療群のSBPは約8ポイント低下、DBPは約4ポイント低下した。さらに6カ月時点では、強化治療群のSBPは約13ポイント、DBPは約10ポイント低下した。
研究グループによると、歯周組織への積極的な介入だけで血圧の低下、炎症の抑制ならびに内皮機能の改善を得られる可能性を示した検討は初めて。今後は多様な背景因子別の検討が必要と述べている。