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国保料上昇、43%の自治体 公費投入で穴埋め構造残る 都道府県移管、厚労省集計

自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の運営主体が4月に市区町村から都道府県に移るのを前に、厚生労働省が市区町村の1人当たり保険料水準の変化を集計したところ、43%の自治体で上がる可能性があることが30日分かった。約54%は下がり、約3%は据え置きとなる。

 制度変更に伴い保険料が急激に上がりかねないと懸念していた自治体も多かったが、移管支援を目的に国が約3400億円の公費を投入するため保険料の伸びは一定程度、抑制される。国保財政は赤字体質で市区町村が独自に穴埋めして帳尻を合わせてきたが、加入者以外も負担する税金を投入する構造は4月以降も残ったままだ。

 都道府県が、管内市区町村の保険料の目安や都道府県に納める「納付金」の1人当たりの金額を2016年度と18年度で比較。2年分の増減幅を1年分に置き換え、厚労省に報告した。北海道と宮城は市町村の増減幅を回答していないため、厚労省は45都府県の1524市区町村をまとめ、発表した。

 保険料水準が上がるのは656市区町村。このうち90%超の601市区町村で上昇幅が3%以内だった。一方、下がるのは54・3%の828市区町村、据え置きは2・6%の40市町村。厚労省は「高齢化や医療の高度化によって医療費は毎年3%程度伸びている。公費で保険料を抑える効果があった」としている。

 実際の保険料額は、今回の保険料水準をもとに、市区町村が6月までに決める。保険料の上昇を抑えるため、独自に市区町村が一般会計などから繰り入れた場合、据え置きや減少となる可能性もある。厚労省によると、16年度の全国の平均保険料は年9万4140円。

 都道府県別の保険料水準の平均は、18都県で上がり、28府県で下がる(北海道は未回答)。最も上がるのは熊本の2・4%増、下がるのは沖縄の8・1%減だった。

 国保は、高齢者や低所得者の割合が多い上、医療費の水準も高く赤字構造となっている。厚労省は、規模の大きい都道府県へ運営を移管し、財政基盤強化を目指している。

 ※国民健康保険

 75歳未満の自営業者や非正規労働者、無職の人ら約3千万人が加入する公的医療保険。加入者の所得水準が低い一方、年齢が高く医療費水準も高いために赤字運営が続く。2016年度の赤字額は1468億円で、穴埋めのため全国の市区町村の一般会計から計2537億円が繰り入れられた。規模を大きくして財政を安定化させる目的で、4月1日に市区町村から都道府県に運営が移管される。保険料徴収や書類交付など住民に身近な業務は、引き続き市区町村が担う。