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どうすれば安全安心:口臭、気になりますか?

口臭――。必要以上に気にする人も少なくない一方、自覚のまったく無い人もいる。面と向かって指摘することがはばかられる、悩ましい存在だ。生活していく上で避けて通れないこの問題に、私たちはどのように向き合っていけばよいのだろうか。【石塚孝志】

 ◇家族に確認してみよう/口の中の乾燥が大敵/治療は全額自己負担

 満員の通勤電車の中、隣のつり革につかまった乗客から漂ってくる口の臭い――。取引先との商談や上司との打ち合わせなど、相手の口臭が気になる場面はたくさんある。じっと耐えるしかないのか。口臭に気づいてもらうにはどうすればよいのだろうか。

 日本口臭学会の理事で、東京歯科大学千葉歯科医療センターで口臭外来を受け持つ亀山敦史准教授を訪ねた。実は口臭に悩んでいる人を検査したところ、意外な結果が出たらしい。同大学が2013年、日本歯周病学会で発表した統計調査を教えてくれた。

 この興味深い調査によると、3年間に口臭外来を訪れた363人のうち、約8割は自分の口臭を「自覚」して受診したが、その約半数は治療の必要がない「口臭なし」と診断された。どんなことを意味するのだろうか。

 例えば、マスクをする際などに自分の口臭を「自覚」しても、実際に不快感を与えるほど口臭があるとは限らない。「自覚」と「実際」との明確な関連性は認められないというのだ。また、他人が鼻や口に手を当てたなどの仕草から口臭に気づいたという人も、やはり約半数が「口臭なし」と診断された。「口臭は誰にでも少なからずあるものです。他人に不快感を与えるレベル以下なら問題はありません」と亀山さん。

 口臭を意識するようになった時期を尋ねると、「10年以上(前から)」と回答した人が約4割いたものの、実際にはその半数が「口臭なし」と診断された。口臭の有無にかかわらず、長期に悩んでいる人が少なくないようだ。

 一方、家族など他人から指摘されて訪れた人は、6割近くで口臭が確認された。50代以上になると口臭のある人の比率が高くなることも分かった。亀山さんは「不快感を与える口臭に自分で気づくのは難しい。家族のいる人は配偶者や子供に確認するのが有効です」と話す。