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この口内炎、舌がん?…堀さん公表で相談急増

タレントの堀ちえみさん(52)が舌がんを公表してから間もなく1か月。舌がんに対する関心の高まりで、東京都内の大学が開設したネットの相談窓口には、歯科開業医から患者の口の中の異常について相談が急増している。舌がんは一般的な口内炎と間違えられ、診断が遅れる恐れがあり、患者の遺族からも「この機会に舌がんのことを知って」との声が上がっている。

 堀さんは先月19日、自身のブログで、進行した舌がんが見つかったと明らかにした。当初数か月は舌がんとの診断がつかず、口内炎として治療を受けていたという。22日に手術を受け、今月17日のブログでは医師の許可を得て一時自宅に戻った様子を報告した。「退院まで後少し」などと近況をつづっている。

 「堀さんの公表をきっかけに、多くの人に関心を持ってほしい」。そう呼びかけるのは、千葉県船橋市の男性(55)だ。2017年6月、父親(当時83歳)を舌がんで亡くした。

 前年5月、父親は口内炎がなかなか治らず、近くの歯科医院から紹介された病院の 口腔(こうくう)外科を受診。入れ歯が合っていないためと言われ、数か月通院した。症状は治まらず、別の病院を受診すると、11月末になって進行した舌がんとわかった。父親の死後、最初の病院を提訴した。

 男性は「『治らない口内炎』とネット検索すればよかったと悔やんでいます。他の人には父のような思いをしてほしくない」と語る。

 舌がんは、初期症状の口内炎が見分けられずに放置され、診断がつくまでに進行してしまうことが、以前から問題とされてきた。

 診療には耳鼻咽喉科・頭頸(けい)部外科のほか、口腔外科など複数の診療科がかかわる。早期発見を目指し、日ごろ患者の口の中を診ている歯科開業医と大学病院などの専門医が連携する取り組みも広がりつつある。

 東京歯科大口腔外科などは、歯科開業医が口内の異常を見つけた場合、ネットを通じて画像を共有し、助言する仕組み「オーラルナビシステム」を12年から始めた。今では全国1386の歯科診療所が参加する。堀さんの病気公表後、1週間に4、5件だった相談は1日10~20件に急増した。

 柴原孝彦・同大主任教授は「口内炎のような症状が2週間以上続いたら要注意だ。早期発見には部分的に白いとか赤いとか色調の変化がないかを見る習慣も大切」と話している。