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今さら聞けない!歯と口の健康 先どりきょうの健康

6月4日から10日は歯と口の健康週間。歯と口の健康について正しい知識を知ってもらうため、国や日本歯科医師会が実施している。今週は4日間にわたり「今さら聞けない歯と口の健康情報」というテーマで伝えていく。1日目のきょうは歯周病。歯は食べ物を噛む以外にも、発音を助けたり表情を作るなど、様々な機能を果たしている。

 実は歯を失う原因は虫歯ではなく歯周病。歯周病の原因はプラークという歯垢で口の中に居る細菌と代謝物が出した塊。プラークは口のケアが充分でない場合や、糖分を取りすぎた時に繁殖する。歯周病とはこのプラークの中にいる歯周病菌が悪さをして歯茎に炎症が起こる病気。最悪の場合、歯茎の中の骨まで壊してしまい、歯が抜け落ちてしまう。

歯周病
 ゲストの日本大学歯学部付属歯科病院の宮崎真至病院長に歯周病について話を聞く。歯周病は比較的広い年代に生じるといわれているが、やはり高齢者に多い。歯が多く残るようになった、その一方で歯に対するケアが行き届かないために発症すると言われている。歯周病は程度によって歯肉炎・歯周炎と2つに分かれる。我々の歯は歯槽骨という骨に支えられ、歯と歯槽骨は、歯根膜という繊維につなぎ止められている。こうした組織を歯茎が覆っている。

 歯肉炎はプラークによって、歯茎が炎症を起こし腫れている状態。歯肉炎が進行すると歯と歯茎の隙間が深くなり、歯周ポケットという溝ができる。歯周病菌は空気を嫌う性質があるので、歯周ポケットの中に増殖する。さらに炎症が強くなっていくと、歯を支えてる歯槽骨や、歯と歯槽骨をつなげている歯根膜などが破壊される。これが歯周炎である。さらに進行すると歯が抜け落ちてしまう。正常な人の歯の写真と歯周病の人の写真を紹介する。歯周病にかかった人の歯は歯茎がなくなり歯が長くなったように見える。本来は歯茎の中に隠れている歯が露出してしまっているため長く見えるのだという。そしてその分、歯の根元部分が虫歯になりやすくなる。

 歯周病の症状が出る前に気づきたいところだが、歯周病のサインはあるのだろうか?と出演者が聞くと、「歯茎がむず痒い」「歯磨きやフロスを使用すると出血する」「口の中がネバネバする」「歯が長くなった気がする」「歯がしみる」「歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった」「ぐらぐらする歯がある」などで、このような兆候がいくつかあれば歯周病の疑いがあると答えた。初期の歯肉炎ならセルフケアでよくなるので一つでも当てはまるのがあれば、受診をお薦めすると宮崎病院長は語った。

歯周病 治療
 歯周病で歯科を受診した際の治療について。まずは歯の状態を調べる歯周組織検査。この段階で歯周病が見つかったら、歯磨きの指導、歯石の除去を行う。その後の検査で再評価を行い、改善が見られない場合は、歯周外科手術を行う。

 歯周病と言われたらまず治療として行うのは歯磨きで、宮崎病院長が2つの種類の歯磨きの仕方を紹介した。まずはスクラッピング法。これは歯に対してブラシを90度にあて、細かく振動させる。これにより歯と歯の間にブラシが入ってきれいになる。もうひとつはバス法で、ブラシを45度にあて細かく振動させる。これにより歯と歯茎の近いところの汚れを効率的に取っていく。歯周病ということを考えるとバス法のほうが適しているといえるが、間違ったバス法は歯茎を傷つけるおそれがあるので、まずはスクラッピング法から行うのが良いと語った。

 歯磨き前の口の中の状態を見ると、菌が沢山いるが、歯を磨いた後は劇的に変化しているのが分かる。歯磨きの他にフロスや歯間ブラシなども使うことが大切になってくると語った。糸巻き状のフロスやホルダータイプのフロス、歯間ブラシを紹介し、これらを使うと歯ブラシだけでは取りにくい歯と歯の間のプラークを取ることが出来るので、是非日常の歯磨きに、こういったものを応用してもらいたいと語った。しかし間違った使い方をすると歯茎を痛めてしまうこともあるので、一度は歯科医院で指導を受けることを勧めた。

 次は歯石の除去について語る。歯石とはプラークにミネラルが沈着し石のようになったもの。通常は自分で取ることは出来ないので、歯科医院に行ってこれを除去する必要がある。歯石を取るとき手用スケーラーと超音波スケーラーがある。こういった道具を使って、歯周病菌が出した毒素を除去し滑らかにする処置、すなわちルートプレーニングを行う。そして歯周病の再検査で改善が見られない場合は、歯周外科手術となる。

 歯周外科手術といっても多くの種類があり、フラップ手術などが行われる。フラップ手術は、まず痛みが出ないように局所麻酔を行い、そのあと歯茎を切開して歯石を取りルートプレーニングしてから歯茎を元に戻して縫い合わせるという手術。歯の本数にもよるが、1時間以上はかかるといわれている。また最近ではフラップ手術に合わせて、歯周組織再生治療も行われている。歯茎を切開してルートプレーニングをしたあとに、GTR膜を歯茎に設置する。あるいは特殊なタンパク質を歯根の表面に塗布をして、歯茎を縫い合わせるという手術も行われている。さらに昨年の11月に新しい歯周組織再生の治療薬トラフェルミンが保険で使えるようになり、3万円と高額だが歯周組織の再生には非常に期待が持たれている治療薬となっている。