記事一覧

虫歯治療後、麻酔中毒で2歳児死亡 元院長を在宅起訴

福岡県の歯科診療所(閉鎖)で2017年、虫歯治療のため麻酔を注射された(当時2)の容体が急変して死亡した事故で、福岡地検は28日、歯科診療所の元院長を業務上過失致死罪で在宅起訴し、発表した。

 起訴状によると、17年夕、麻酔薬を使った約1時間の治療後に叶容体が急変。顔色が悪いなどの異変を両親が訴えても、元院長は疲れて眠っているだけだと考え、救急車を呼ぶなど必要な救命措置をとらず、同3日に急性リドカイン(麻酔)中毒による低酸素脳症で死亡させたとされる。県警が19年元院長を同容疑で書類送検していた。

 両親は28日、弁護士を通じて「正式に起訴されるという知らせを受けたときには、思わず安堵(あんど)の涙が止まらなくなった。二度とこのような事件が起きないよう真相の解明を求めていく」とのコメントを出した。一方、診療所側の弁護士は、朝日新聞の取材に対し「起訴状が届いていないのでコメントできない」と話した。

 この事故をめぐっては、両親が歯科診療所側に対し、1億円余りの損害賠償を求めた訴訟が福岡地裁で続いている。