日本法歯科医学会の第14回学術大会は4日、盛岡市盛岡駅西通のアイーナで開かれた。全国の研究者や歯科医師ら約100人が参加し、時代の変化に沿った法歯科医学の役割を考えた。
大会長で岩手医大法科学講座歯学・災害口腔(こうくう)医学分野の熊谷章子准教授が「東日本大震災や相次ぐ自然災害、日本社会の進化を意識し、法歯科医学の多岐にわたる新たな知識を得られる内容にした」とあいさつした。
北上市の復元納棺師笹原留似子(るいこ)さん(48)が「遺体復元の実際」と題して特別講演。震災被災地の遺体安置所で警察や医師と連携しながら復元に奔走した経験や、遺族が遺体と対面した時のエピソードなどを紹介した。
身元特定におけるデンタルチャート(歯科所見)の重要性にも触れ「一つでも多くの証明があれば、遺族は納得できる。遺族は皆さんの力を必要としていて、そのおかげで正しく死者を思い、『生きる』方に向いていく」と述べた。復元の実演も行った。
研究発表では、大量放火殺人現場で発見された身元不明遺体の歯を鑑定する際の課題や、防護具脱着時の汚染リスクに関する検証など、7件の研究成果が報告された。