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「7回接種」注射器生産へ テルモがワクチン用に開発

大手医療機器メーカーのテルモが、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを巡り、1瓶で7回接種できる特殊な注射器を開発し、近く生産を開始することが9日、分かった。厚生労働省が5日に製造・販売を承認し、同社の甲府工場(山梨県昭和町)で今月末にも量産体制が整う見通し。2021年度は年2千万本を生産する計画。

 テルモが開発した特殊注射器は、新型インフルエンザが流行した09年、薬液を残さずに使えるよう開発した技術を応用した。またワクチンの効果を高めるため、針を3ミリ長くして筋肉に到達しやすい設計にした。

 政府は当初、6回分注射できる前提で接種人数を積み上げていたが、国内で一般的に使われる注射器は筒の先に隙間があり、薬液が少量残るため5回分しか接種できないことが判明。医療機器メーカー各社に6回接種の特殊注射器の納入を働きかけていた。

 テルモの社内実験の結果、政府が求めていた6回よりもさらに1回多く接種できることを確認した。出荷先は今後、政府と調整を進めるという。