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唾液で迅速に大腸がん検査 慶応大、短時間で高精度に

慶応大先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の曽我朋義(そが・ともよし)教授らは3日までに、唾液による大腸がん検査について、多くの人から採取した検体を一度に測定する技術を開発したと発表した。精度も高い上、検査に要する時間が大幅に減り、手軽ながん診断へ期待がかかる。成果は国際的な分析化学誌電子版に掲載された。

 大腸がんなどの患者の唾液や尿からは、一般の人に比べ高濃度のポリアミンと呼ばれる成分が検出される。鶴岡市のベンチャー企業「サリバテック」が専用の検査キットを開発するなど、唾液中のポリアミン濃度からがんのリスクや有無を調べる方法は近年普及が進んでいる。

 従来は1検体ずつ10分以上かけて調べたが、新たな技術では40検体をまとめて40分で測定できる。1検体当たり1分で終了する計算だ。また大腸がん患者と健常者から採取したポリアミンを調べたところ、8割以上の精度で両者を区別できた。一般的な便潜血検査に比べ手間がかからず、精度も高いという。

 他に膵臓(すいぞう)がん、乳がん、口腔(こうくう)がんでも唾液中のポリアミン濃度が上昇することが分かっており、これらの検査にも応用できる可能性がある。

 今後、サリバテックへ技術を導入し、実用化と大幅なコスト削減を目指す。曽我教授は「安く検査できればがんの早期発見にもつながる」と期待する。

 注)分析化学誌は「ジャーナル・オブ・クロマトグラフィーA」