2021年の食中毒発生件数は717件で、直近20年で最も少なかったことが30日、厚生労働省のまとめで分かった。新型コロナウイルス対策による衛生管理の向上や、飲食店の営業時間短縮などが影響したとみられる。一方で店舗からの持ち帰りや、配達された料理が原因で食中毒が起きる例もあり、同省は注意を呼び掛けている。
厚労省によると、発生件数は19年1061件、20年887件と、コロナ流行以降に減少傾向となっている。21年はさらに減り、患者数も前年比3533人減の1万1080人と、直近20年で最少だった。
原因の食品は魚介類が225件で最も多く、コロッケやギョーザなど複数の原料で作った「複合調理食品」(41件)、肉類(31件)、野菜類(29件)が続いた。施設別では飲食店が283件で全体の4割近くを占め、家庭は106件。老人ホームや保育園などは31件、学校は10件だった。
飲食店での発生を月別で見ると、コロナ感染拡大の第5波に伴う緊急事態宣言期間中だった夏は少なく、飲食店の時短要請などが解除された後の11月や12月に増えていた。
コロナ流行が続く中、飲食店や弁当屋などから持ち帰ったり配達されたりした料理を家庭で食べて食中毒になったのは、24件。厚労省は店側に注意を促すリーフレットを作成して予防策を進めており、担当者は「持ち帰ったら早く食べるなど、利用者も気を付けてほしい」と話している。