これまで口の中の環境が原因だと考えられてきた歯周病が、実は腸内細菌も要因となっていることを福岡歯科大(福岡市)口腔(こうくう)歯学部の田中芳彦教授(免疫学)と永尾潤一講師らの研究グループが突き止めた。この発見を生かして腸内を整える薬剤が開発されれば、新たな予防・治療法につながる可能性が出てきた。
研究論文が、日本時間の7日に米科学雑誌「セル・レポート」に掲載された。
歯周病は歯垢(しこう)が原因で歯茎が炎症を起こし、歯の骨が溶ける病気。日本歯周病学会によると、日本人の3人に2人が発症しているといわれる。
従来、口の中で起きる局所的な病気と考えられてきたが、今回の研究で腸内細菌が深く関わっていることが新たに分かった。
田中教授らは、もともと歯周病と関係するとされてきた免疫細胞「ヘルパーT細胞」が腸に一番多く集まっていることに着目した。歯周病の原因菌をマウスの腸に投与したところ、腸内細菌と反応。その影響で活性化したヘルパーT細胞が腸から口に移動し、歯周病が発症し、重症化した。
歯周病は糖尿病や動脈硬化といった病気のリスクを高めるとされている。田中教授は「歯周病の予防と治療が全身の健康につながる。予防や治療法の開発につながるよう、研究を進めたい」と話している。