厚生労働省は介護保険制度見直しを巡り、サービスを利用する際に必須となる「ケアプラン」(介護計画)作成の有料化を先送りする方向で検討に入った。3年に1度の制度見直しで課題とされたものの、利用控えが起きるとの懸念が相次いでいた。複数の関係者が28日明らかにした。
与党から負担増に慎重論が強まり、民間団体からも異論が出ていた。
見直しの議論の中で、介護度が比較的軽い要介護1、2の人が使う訪問介護のうち、掃除や洗濯といった生活援助サービスの事業主体を、国から地方へ移す案が出ている。これについても見送る方向で調整する。
厚労省は、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会での議論を踏まえ、最終決定する。高所得者の保険料引き上げに関しては、検討を続ける。2024年度からの実施を目指している。
現在、ケアマネジャーによるケアプラン作成に、本人の負担はなく、税金や保険料で費用が賄われる。介護サービス費用の膨張を受け、厚労、財務両省は有料にすることを検討していた。
生活援助サービスの事業主体の移行も、介護費用を抑える狙いだった。主体を市区町村に移すと、介護職員でなく地域のボランティアらが介護の担い手となり、サービスの質が低下する恐れが指摘されていた。
22年度の介護費用は予算ベースで約13兆円と、介護保険制度の創設時から約3・7倍に拡大。今後も増加が見込まれる。
※ケアプラン
高齢者らが介護保険サービスを利用する際に定める計画。心身の状態などに応じて、訪問介護や通所介護といったサービスの種類や、利用する頻度を定める。ほとんどの場合、ケアマネジャーらが、本人や家族の意向を踏まえて内容を決める。介護保険サービスの利用に当たっては、所得に応じて1~3割の自己負担がある。ただ、ケアプランに関しては、介護を必要とする人が積極的にサービスを利用できるようにするとの観点から、利用者の負担はない。