マウスピースを使った歯の矯正治療をモニターとして宣伝すれば、治療費と同額の報酬を支払う契約を結んだのに、実際は支払われなくなったとして153人が26日、東京都の医療法人社団や代表理事、東京都の会社などに計約1億9700万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告側代理人の弁護士によると、医療法人社団は歯科医院を都内2カ所と京都、福岡の両市に展開し、1400人以上が勧誘された。治療を放棄され健康被害が出た人もいるとして、告訴も検討している。
訴状によると2018年4月以降、医療法人社団側はモニターの勧誘を始めた。153人は治療費など計154万~187万円を一括で支払えば、毎月一定額をモニターの報酬として得られ、実質的な負担がないとする契約を結んだ。報酬の一部は支払われたが昨年3月以降は停止。ローン返済が残った人もいた。「確実に破綻することを認識していたのに勧誘を続けた」と主張している。
弁護士は提訴後、都内で原告らと記者会見し、勧誘には交流サイト(SNS)が利用されたと説明。153人の7割は女性で「女性をターゲットにする詐欺的商法だ」と話した。30代女性は「かみ合わせが合っていなくて食べづらい。借金と健康被害だけが残った」と声を詰まらせながら語った。
訴えられた東京都中央区の会社の代理人弁護士は「当社が関与、関知しているモニター契約については、責任を持って支払いをしていく」などとコメントした。