とろみ付き炭酸飲料中の「炭酸」の効果は不明だった
東京医科歯科大学は2月1日、誤嚥防止に用いられているとろみ調整食品でとろみを付けた炭酸飲料中の炭酸に、嚥下改善効果があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野の戸原玄教授、中川量晴准教授、吉見佳那子特任助教、齋木章乃大学院生らの研究グループと、国立長寿医療研究センター 老年内科の前田圭介医長との共同研究によるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。
嚥下障害患者は、加齢やさまざまな疾患により嚥下機能が低下する。水分など粘度の低いものは摂取時に一気に咽頭に流入するため、嚥下反射とのタイミングが合わず、誤嚥が生じやすくなる。そのため、一般的に水分にとろみを付与することにより、粘度を増加させることで誤嚥を防ぐという方法がしばしば用いられる。
近年、炭酸飲料は水分と比較し少量で嚥下反射を惹起させることが可能であること、さらに炭酸飲料摂取時の方が、嚥下反射惹起時間が短縮することが報告されている。これは、炭酸飲料の発泡性が咽頭粘膜を刺激することで、嚥下運動が促進されるためとされており、炭酸飲料には嚥下改善効果があることがわかっている。
一方、とろみ付き炭酸飲料の嚥下動態への効果を検証した研究はあるものの、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸の効果を検証した研究は報告されていなかった。