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返戻に含まれたメッセージ

返戻は、「理由が明確になり、納得できるものであれば査定しませんよ」というメッセージを含んでいます。審査委員も臨床医ですので、必ずしも査定することを目標としているのではありませんし、適切な保険診療は査定したくないのが本音です。つまり、返戻とは審査委員が垂らした“蜘蛛の糸”のようなものなのです。

 私が審査することが多い外科の症例で、「なぜそのような手術術式を選択したのですか?」「なぜそのような診療材料を使用したのですか?」などと返戻をすることがあります。質問に対して適切な回答を返していただければ、査定しないで済みます。適切なご回答をいただけることもありますが、手術記録や退院サマリーをそのまま送り返してくるのみの医療機関もあります。まるで「返戻のコメントは面倒くさいので、審査委員も医者なら、これを読んで判断してよ」と丸投げされているような気になります。

 自分も審査に関わる以前は、返戻は面倒くさいと思っていたような気がしますが、審査委員からすれば、救うために垂らした蜘蛛の糸なのです。ぜひ、その糸を切ってしまわないような対応をお願いします。