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う蝕原因菌の約20%に、脳出血の悪化に大きな影響を及ぼす細胞接着因子が存在。

ライフスタイルの変化と高齢者人口の増加により、脳卒中患者は年々増え続けており、虚血性心疾患に次いで世界的な死因の第2位となっている。日本では、医療の発展により脳出血による死亡率自体はピーク時よりも低下しているものの、再発の可能性が高く、運動麻痺や知覚障害、失語症などの重い障害が残るケースも多い。
 今回、広島大学大学院医系科学研究科歯周病態学の研究グループがコラーゲン結合性タンパクCnmを持つう蝕原因菌S.mutansの歯内感染が、脳出血の悪化に強く関与することを、ラットによる動物実験で明らかにした。Cnm陽性S.mutansが歯内感染したラットは菌血症を起こし、神経症状悪化や炎症性サイトカイン量の上昇、脳出血スコアの上昇が認められたという。
 また、Cnmを持つS.mutansは細胞外基質、特にⅣ型コラーゲンに対して強く付着し、細胞への付着だけでなく浸潤においても強く関係することも分かった。