グラクソ・スミスクライン(GSK)は9月4日、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体・ヌーカラ(一般名:メポリズマブ)について、成人の既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の適応追加を一変申請したと発表した。承認された場合、同剤はこの追加適応に対し、日本で初めての抗IL-5生物学的製剤となる可能性がある。
今回の申請は、日本人、中国人、ロシア人の既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎の患者を対象として、52週にわたり同剤の有効性と安全性を検討した主要な第3相臨床試験(MERIT試験)のデータと、400人以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に同剤とプラセボの効果を比較検討した国際共同第3相試験(SYNAPSE試験)のデータに基づく。
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎/好酸球性副鼻腔炎は世界の人口の2~4%が罹患しているとされる。日本の慢性副鼻腔炎患者は200万人、このうち約20万人が鼻茸手術の対象となるような患者と推定されている。
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は鼻粘膜の慢性炎症により引き起こされ、Type2炎症の結果、IL-5のレベルが上昇し、鼻茸として知られる副鼻腔や鼻腔に発生する軟部組織の増殖を引き起こすことがある。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者には鼻閉塞、嗅覚の消失、顔面痛、睡眠障害、鼻汁などの症状が現れる。また、重症の場合には手術が適応となる場合があるが、鼻茸は再発する傾向が強く、手術を繰り返すことが多くある。
なお、ヌーカラは日本で、▽6歳以上の小児および成人の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)、▽成人の既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症――で承認されている。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎が承認されれば3つ目の適応となる。