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口腔外科 がん治療に対応 山梨県立中央病院 「ゲノム医療」導入も視野

口腔外科は主に口の中に原因がある病気の外科的治療を行う。山梨県立中央病院は口腔がんに対応していて、標準治療を確実に進めるとともに、新たな治療導入に向けた取り組みを視野に入れている。

 同院口腔外科部長の大迫利光歯科医師によると、口腔外科で取り扱う病気は、あごの骨の変形のために歯のかみ合わせに異常を生じる「顎変形症」や歯の外傷のほか、口腔内の粘膜疾患、あごの骨の炎症など幅広い。最も多い患者は、地域の歯科クリニックから紹介状を受けて行う「親知らず」の抜歯。入院し、全身麻酔で行うケースもある。

 県内で口腔外科を設けている病院は同院を含め6施設ある。歯科診療領域ではあるが、虫歯や歯周病などの治療を担う地域の歯科クリニックとは明確に役割が分かれているという。

 同院はがん診療連携拠点病院として口腔がん治療に力を入れる。口腔がんはがんを切除する外科的治療が適応になる場合が多く、がんの大きさや場所によっては放射線治療も選択肢に入る。一方、がんの原因となる遺伝子変異を調べ、見つかった変異に合った薬を探す「がんゲノム医療」が広がっているが、他領域のがんに比べて遅れているのが実情だ。

 口腔がんを専門とする大迫歯科医師は「まずは標準治療を確実に進めることが大切」と強調する。今年4月、同院が「がんゲノム医療拠点病院」になったことを念頭に「患者の協力を得ながら症例を蓄積して臨床応用への道を模索したい」と、がんゲノム医療を軸とした研究を意識する。