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今夏、医療崩壊寸前となり緊急会議、会員の結束で乗り切る‐大原正範・函館市医師会会長に聞く

 2023年4月に函館市医師会の会長に就任した大原正範氏。同医師会はこれまで時代に応じた事業を展開し、地域医療へ貢献してきた。一方で時代の変化に伴い、新たな課題も生じてきていると言う同氏に、地域の医療機関や行政との連携における工夫や今後の展望などについて話を聞いた。函館市医師会の課題である財務の健全性について、その背景にはかつて事業をスタートさせた時代とは社会が変わったという事情もあるのでしょうか。

 十分にあります。例えば、函館市医師会健診検査センターにおいても、かつての時代ほど高い需要はありません。以前は函館市に検査センターがほとんどなかったために開業しましたが、現代は大手の検査会社が地域に営業所を持っています。さらには強烈な売り込み合戦が行われ、われわれは民間の会社と値引き競争をするほどの体力はないわけです。そういった現状で、昭和と同じようなビジネスモデルでやっていくことは果たして正しいのかということまで含めて考える必要があります。しかし、実は数年前に老朽化した設備を新築して移転したばかりなので、存続させる方向で考えなければと思っているところです。

 また、函館市医師会病院についても同じような状況です。かつて昭和の頃は開業医の先生方が患者さんを入院させる際、大きな病院へ依頼するのはなかなか敷居が高く、自身の出身大学などの伝手を頼らざるをえないケースが多くありました。そういった状況を鑑み、地域の医師みんなが使い勝手の良い病院を作ろうということで設立されました。しかし現在では、これまで医師会病院が担っていた急性期医療の分野に関しては、人口減少などによって将来供給過剰になるといわれています。地域医療構想においても病院のダウンサイジングが求められている中、今後医師会病院はどう立ち回るべきか考えているところです。