弘前大学大学院医学研究科の伊藤悦朗特任教授(小児血液学)らでつくる研究チームが、ダウン症の子どもが発症しやすい血液のがん「骨髄性白血病」の発症と再発の原因となる遺伝子変異を発見した。2013年にも遺伝子変異を新たに確認していたが、今回はさらなる変異と再発原因につながる遺伝子を見つけた形。発症メカニズムの解明に向けた大きな一歩で、新たな治療法の開発に期待がかかる。
研究成果は、血液学の分野で最も権威ある学会誌「Blood(ブラッド)」(米国血液学会)の電子版に21日付で掲載された。
研究チームによると、ダウン症の新生児の一部は「前白血病」とされる一過性異常骨髄増殖症にかかり、さらに骨髄性白血病を発症する場合がある。骨髄性白血病は治りやすく、適切な治療を受けると8~9割が完治する。ただ、残りの1~2割の患者は治療が効かずに再発する。ある患者群だけが再発を繰り返す原因は不明だった。
伊藤特任教授らによる13年の研究では、26の遺伝子の変異が、骨髄性白血病の発症に関与していることが分かっていた。ただ、当時は調査した検体数が少なく、発症メカニズムの解明にはさらなる調査が必要だった。