誤飲で喉を詰まらせた人への処置を学べる医療用シミュレーターが、看護学科がある島根県立大出雲キャンパス(出雲市西林木町)に導入され、学生たちが対応力を磨いている。
同キャンパスの学生と献血の普及活動に取り組む出雲中央ライオンズクラブ(LC)が、心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)をトレーニングする機器6台とともにシミュレーターを寄贈した。窒息を想定した機器はなく、教員が持参した機材などで対応していたが、十分な実習ができなかった。
シミュレーターは適切な場所を押すと、口から詰め物が出る仕組み。腹部を突き上げ、口から異物を出させる「ハイムリック法」が体験できる。
学生たちは実習で取り入れており、看護学科4年の花田圭佑さん(22)は「押さえないといけないポイントが分かり、対応に自信がついた」と喜び、寄贈した出雲中央LCの古川篤会長(46)は「実践的な勉強に役立て緊急時の技術を磨いてほしい」と願った。
厚生労働省の人口動態統計によると、2023年に国内で発生した不慮の事故による死者数のうち、不慮の窒息は3番目に多い8644人で、交通事故の約2・4倍という。今年2月には福岡県の児童が給食のウズラの卵を詰まらせて窒息死する事故が起きた。