アフタ性口内炎、カンジダ症といった口腔トラブルの背景には、ストレスや口の衛生状態の悪化、薬剤の影響、義歯などの原因が考えられる。だが同時に、ドライマウスが大きく影響していることも多い。
ドライマウスとは、唾液の分泌量低下などで、口腔内が乾燥している状態。内科疾患としては、シェーグレン症候群が最も代表的だろう。しかし、「一般的にはシェーグレン症候群は1~2割。最も多いのは社会的ストレスや薬剤の副作用などによるもので、6~7割を占めているのではないか」と九大病院口腔顎顔面外科学教授の中村誠司氏は話す。
例えば、以下の症例のように、唾液分泌量が減っているようなうつ病の患者では、抗コリン作用のある抗うつ薬を内服して、さらに唾液分泌機能が低下し、つらい思いをしているというケースも少なくない。
「患者は非常に悩んでいるが、そもそも口が渇くことを病気や薬の副作用だと思っていない人が多い。患者はどの科を受診したらよいのか分からない上、よほど症状が悪化しないと主治医にも訴えない」と中村氏。