近年、低炭水化物/高たんぱく質食、地中海ダイエットなど、様々な食事療法の有効性が検討されている。しかし、米国Harvard公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らが行った2年間の無作為化試験の結果、食事を構成する3大栄養素の割合がどうであれ、摂取熱量が同じであれば減量効果は同じであり、心血管危険因子や糖尿病危険因子の改善レベルにも差はないことが明らかになった。詳細は、NEJM誌2009年2月26日号に報告された。
これまで、低炭水化物/高たんぱく質食、高炭水化物/低脂肪食、超高炭水化物/超低脂肪ベジタリアン食や地中海ダイエットなど、様々な食事療法の有効性が比較されてきた。しかし、過体重や肥満の成人の減量において、どれが最も有効な食事療法なのかは明らかではなかった。
また、こうした食事療法を比較した試験で継続期間が1年を超えた研究はほとんどなかった。通常、減量の効果は食事療法開始から6~12カ月で最大になり、その後、体重は緩やかに上昇する。したがって、1年を超えて効果を比較する必要があると著者らは考えた。
得られた結果は、摂取熱量を減らす食事療法は、どの栄養素に焦点を当てるかにかかわらず、臨床的に意味のある体重減少をもたらすことを示した。したがって、患者の好みに合わせて食事内容を決めることにより、食事療法の長期継続を目指すことが重要と考えられた。