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歯科医療分野におけるAIの技術革新

政府は人工知能(AI)政策の指針となる「AI基本計画」に国内開発推進を明記する方針を固め、AIの利活用が日常化する社会を目指すと記述した。
デジタル革命の波は我々歯科医療の世界にも押し寄せ、AIの導入によって診療スタイルが大きく変化しようとしている。
歯科医療は予防の重要性が高い分野であり、AIによるリスク予測や早期発見が患者さんの口腔健康管理に大きく貢献する可能性を秘めている。例えば、画像診断はむし歯や歯周病などの診断に必要で、従来は歯科医療の経験や知識による目視判断が主であった。だが近年、AIが画像を解析して異常を自動検索するシステムが歯科においても開発、導入され始めている。特に歯科パノラマX線画像は、多くの患者さんに対して撮影されるため、AIによる支援の有用性は非常に高いと言える。
また、歯科CADシステムとAIの連携も進んでおり、自然な嚙み合わせを実現する被せ物デザインをAIが提案することも可能であり、矯正治療においても一部でAIの活用の試みが始まっている。特にマウスピースの矯正では、AIがすでに治療計画の立案から装置のデザインまでサポートしている。
今後AIがますます発展することで、歯科医師の負担軽減と患者サービスの向上が同時に実現されていくと思われる。

男児の父「非認め責任を」 ウズラ卵死亡訴訟、初弁論

福岡県で昨年2月、市立小1年の男子児童=当時(7)=が給食でウズラの卵を喉に詰まらせ死亡したのは、学校側が窒息の危険性の指導を怠ったのが原因だとして、父親が市に6千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、福岡地裁であり、父親が「非を認めて謝罪し責任を取るのが先決だ」と意見陳述した。

 父親は法廷で「息子は友達思いでみんなから愛される明るい子だった。なぜ死ななければならなかったのか明らかにしたい」と訴えた。閉廷後、市は「司法の判断を仰ぎたい」とし請求棄却を求めるとの見解を示した。

 訴状によると、昨年2月26日午後0時35分ごろ、男児は給食時間中にみそおでんの食材だったウズラの卵を喉に詰まらせた。救急隊が同50分ごろに到着。隊員が卵を取り出したが、その後死亡が確認されたとしている。

 原告側は、校長から担任教諭にウズラの卵の危険性に関し十分な指導がなく、担任から児童への食べ方の注意もなかったほか、救命措置も遅れたと主張している。

在宅で積極的役割担う医療機関、 設定の考え方明示へ

2027 年度に始まる第8次医療計画の中間見直しに向けて、厚生労働省は9月24日、在宅医療で積極的な役割を担う医療機関を各都道府県が設定する際の考え方を検討する方針を省内のワーキンググループに示した。 また、在宅医療の連携拠点などとの役割の明確化も議論する。年度内に取りまとめを行い、指針の見直しに反映させる。 在宅医療で積極的役割を担う医療機関は24時間対応体制で在宅医療を提供するとともに、ほかの医療機関を支援しながら、医療や介護、障害福祉の現場での多職種連携の支援を行う病院や診療所。厚労省によると、在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が担っているケースが多い。

外国人患者受入れの調査結果を公表 約9割の病院がマニュアル未整備

厚生労働省は9月 19 日、2024 年度の「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果を公表。全国すべての病院を対象とした調査で、約9割の病院が「外国人受入れ体制整備方針」や「外国人対応マニュアル」を整備していないことがわかった。 2024 年の訪日外国人数は過去最高を記録し、今年はさらに上回るペースで推移しているが、医療においては受入れ体制の整備が不十分な実情が浮き彫りとなった。 ■医療コーディネーターの配置はわずか2.6% 調査によれば、2024 年9月の1カ月間で外国人患者受入れ実績があった病院は全体の52.7%。外国人患者数は 10 人以下が44.9%、50 人以下が 75.6%だったが、500人以上受入れている病院も48病院あった(全体の0.2%)。 外国人患者に対する体制整備状況については前述のとおりで、受け入れ体制の「現状把握および課題抽出」すらしていない病院が約8 割、拠点的な医療機関でも6割以上が実施していなかった。 そういった状況であるため、外国人患者受入れ医療コーディネーターを配置している病院も少なく、わずか151病院(2.6%)だった。拠点的な医療機関でも、724病院のうち配置しているのは108病院(14.9%)にとどまった。配置している病院でも、専任者はわずか18病院だった。 一方、多言語化への対応は比較的進んでいる。全国330の2次医療圏のうち、50.0%は医療通訳者を配置。71.5%は電話通訳が利用可能な病院があり、「外国人患者の受入れに資するタブレット端末・スマートフォン端末等」を導入している病院がある2次医療圏は93.9%だった。 ■16.3%の病院が未収金を経験 外国人患者に対する自由診療の診療価格は、9 割以上の病院が診療報酬点数票を活用した倍数計算(1点=10円)で対応している。 ただし、そのうち14.3%は1点あたり10円を超える診療価格を設定。

最低賃金引上げで支援拡充の助成金は 医療機関も対象に 業務改善助成金等

厚生労働省は9月 25 日に事務連絡「最低賃金の引上げに関連した支援の拡充について」を発出。9月5日から対象事業所の拡大や要件緩和がなされた「業務改善助成金」「IT 導入補助金」について、賃上げに取り組む医療機関も使用可能であるとした。 最低賃金の引き上げは、9月5日までに全都道府県の地方最低賃金審議会で答申がまとめられ、全国加重平均は過去最高の 1,121円となった。 石破茂首相は、同日の会見で「賃上げに努力いただいている中小企業の皆様、小規模事業者の皆様、そういう方々に、きめ細かい支援をするということが、我々の内閣の責務」としたうえで、「各業界所管の関係省庁は周知広報を徹底する」と述べており、今回の事務連絡はそれを受けての発出となった。

感覚過敏の子どもを通して「感覚の問題」のメカニズムと対応を考える

診察室に入ると突然怒り出して退室した、注意欠如・多動症(ADHD)+自閉症スペクトラム(ASD)のRくん(8歳)を通じて「感覚の問題」を考えました。一見、理解できないRくんの行動は、感覚過敏という視点で見つめ直すと以下のように説明できました。

診察室に入室後、突然怒り出す⇒診察室がいつもより明るくてまぶしかった(視覚)
商業施設で車から降りない⇒BGMがうるさかった?(聴覚)、人や看板などの視覚情報過多?(視覚)
水族館の海獣館に入らない⇒獣臭が苦手?(嗅覚)
休み時間に怒り出す⇒急に複数の話し声でざわざわしてうるさく感じた(聴覚)
肩を叩かれて怒り出す⇒予想しないタイミングで人に触られて痛みや不快感を覚えた(触覚)
 「感覚の問題」、つまり「感覚過敏や感覚鈍麻など、感覚刺激に対する反応の特性」はASDの人に多いことが知られていますが、発達障害ではない人でも見られます。また、感覚過敏の人も感覚鈍麻の人もいますが、臨床上問題になるのはRくんのように「感覚が過敏で、その症状に対策を取れない人(怒りや問題行動で反応する人)」(感覚プロファイル・シリーズでは「感覚過敏」に該当)です。今回はそうした感覚過敏の人を念頭に、「感覚の問題」のメカニズムと対応について考えましょう。

嫌気環境での酸産生性とフッ化物耐性あり。カンジダ菌によるむし歯リスクが明らかに。

むし歯予防に広く使われているフッ化物は歯質を強化するだけでなく、細菌による酸の産生を抑える働きを持っているが、カンジダ菌の酸産生に対しては抑制効果が低いことも判明した。
 これらの研究結果から、細菌を対象とした従来のむし歯対策だけでなく、真菌を含めた口腔内の微生物バランスを考慮した新しい予防法が求められることは間違いない。さらに、カンジダ菌は口腔粘膜炎などの感染症にも関与しているため、この研究の進展がカンジダ菌による口腔内の疾患全般の予防や治療法の向上にもつながることが期待される。

8020達成率が61.5%に。2年前から約10%増加。

令和6年歯科疾患実態調査の結果が発表され、8020達成者は61.6%となり、2年前の前回調査時より9.9ポイント増加。
 1人平均現在歯数を年齢階級別でみると、60~64歳で27.7本、65~69本で23.4本、70~74歳で21.3本、75~79歳で19.5本、80~84歳で19.1本、85歳以上で14.5本となった。

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