介護を受ける高齢者は、噛む力や飲み込む力が弱く、食物が気管などに入ってしまう誤嚥を引き起こす心配がある。とはいえ、やわらかく煮込んだりする調理の手間は負担が大きい。
介護食作りに関する実態調査によると、家族の69%が介護食作りを大変だと回答した。また、要介護高齢者の食べることに対する配慮を特に行っていないとする割合は、39%に上った。家族が悩んでいる実態が浮き彫りになった。(福祉ニュース)
介護を受ける高齢者は、噛む力や飲み込む力が弱く、食物が気管などに入ってしまう誤嚥を引き起こす心配がある。とはいえ、やわらかく煮込んだりする調理の手間は負担が大きい。
介護食作りに関する実態調査によると、家族の69%が介護食作りを大変だと回答した。また、要介護高齢者の食べることに対する配慮を特に行っていないとする割合は、39%に上った。家族が悩んでいる実態が浮き彫りになった。(福祉ニュース)
有病率は年齢とともに増加、口呼吸やアレルギー性鼻炎などとの関連を示唆
全国における66の小児歯科を専門に診療をしている歯科医院において、定期的に歯科医院を受診している3歳から12歳までの3,399人の子どもを対象とした。日常の健康状態や生活習慣に関する44の質問からなるアンケートの回答を保護者に依頼。集計結果を年齢と全国を6つの地域に分けて、お口ぽかんの有病率に年齢差や地域差があるかどうかを検討した。
その結果、日本人の子どもたちの30.7%がお口ぽかんを示し、お口ぽかんの有病率は年齢とともに増加していた。また、子どものお口ぽかんの割合に地域差はみられなかった。44の質問項目のうち「唇にしまりがない」「鼻がつまる」「音を立てて食べる」など12の質問項目がお口ぽかんと関連していた。このことから、顎顔面の形態や位置だけでなく、口呼吸やアレルギー性鼻炎などが関連していることが示唆された。
小児は「口腔機能発達不全症」として保険診療の対象に
近年、子どもの口の健康な発達がとても重要であることが、徐々に明らかになってきている。これまで研究グループが行った小児のお口ぽかんに関する研究成果などがエビデンス(科学的根拠)として認められ、歯科保険診療において、2018年4月から「口腔機能発達不全症」に関する新病名のもと、「小児口腔機能管理加算」が保険収載された。また、2020年4月からは「小児口腔機能管理料」と「小児口唇閉鎖力検査」が新設され、お口ぽかんが保険診療の対象となった。このことは、従来の歯科治療の中心であった虫歯治療などの硬組織形態に関する疾患-修復モデルから、「食べる」「話す」「呼吸する」といった口腔機能に関する障害-改善モデルへのシフトが徐々に進んできていることを意味する。
今回の研究結果から、子どものお口ぽかんは、成長期において自然治癒が難しい疾病であると考えられた。今後、お口ぽかんの病態解析や改善法の確立などにより、お口ぽかんに対するガイドラインの策定が必要となる。「子どもの口の健やかな成長発育を目指し、より一層食べる、話す、呼吸するといった子どもの口腔機能に関する基礎・臨床的な研究を推進していきたい」と、研究グループは述べている。
「お口ぽかん」は、鼻から下の顎の大きさの増加や悪い歯並びなどと関連
新潟大学は2月17日、日本で初めて口唇閉鎖不全(お口ぽかん)に関する全国大規模疫学調査を行い、小児における同疾患の有病率を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野の齊藤一誠准教授らと、大垣女子短期大学歯科衛生学科の海原康孝教授および鹿児島大学病院小児歯科の稲田絵美講師らの共同グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」に掲載されている。
全身的および局所的な要因により、顎顔面の成長と発達が妨げられると、小児期に口や顔面の骨格、筋肉などの軟組織、咬合(かみ合わせ)、および歯列弓(歯並び)に不均衡が生じる。特に、異常な話し方や嚥下習慣、舌を突出する癖、お口ぽかん、口呼吸、および異常な食習慣などの口腔習癖は、子どもの口の健康な発達に深刻な悪影響を及ぼす。中でもお口ぽかんは、口唇や顔の表情筋の弛緩と過緊張、口呼吸、不自然な口唇の長さや鼻から下の顎の大きさの増加などと関連していることが明らかになっている。また、口唇の形態・機能・位置はそれぞれ密接に関連しながら発達し、徐々に話し方や対人コミュニケーション能力を向上させる。
一方、口唇を閉じる力である口唇閉鎖力が弱くなると、歯を取り囲んでいる口唇・頬と舌の圧力のバランスが崩れ、上の前歯が前方に傾いて突き出たり(上顎前歯の唇側傾斜)、上の左右の奥歯の幅が狭く(上顎歯列弓の狭窄)なったりする。つまり、お口ぽかんと悪い歯並びには密接な関連がある。
これまでの国内の小規模な横断的研究では、お口ぽかんの有病率は年齢とともに低下することが報告されている。また、お口ぽかんの有病率は、人種や生活環境などによっても異なる場合があるが、日本における子どものお口ぽかんの有病率を評価する全国的で大規模な調査は過去になかった。そこで研究グループは全国的な大規模疫学研究において、お口ぽかんの有病率が年齢や地域によって異なるかどうかを検証し、どのような要因がお口ぽかんに関連しているかを調査
新型コロナウイルス対策として県は15日、医療機関に入院できず自宅やホテルで療養する患者への診療体制を強化するため、独自の協力金制度を創設し、同日から運用を開始した。コロナ患者の外来や往診を行う医療機関に、平日は1件あたり5万円、夜間・休日は10万円を支給する。
県疾病対策課によると「他県で例をみない県の独自策」。自宅療養中に症状が悪化した患者から連絡を受けた保健所が、外来・往診可能な医療機関を紹介する。
自宅療養中に症状が悪化したり、死亡したりするケースが県内でも発生し、医療体制を充実させるため独自制度を創設。開会中の2月定例県議会に追加提案した補正予算案に1億2千万円を計上した。
医療機関で院内感染が発生すると、診療がまひし医療崩壊に直結する。200人以上のクラスター(感染者集団)が発生した北海道旭川市の慶友会吉田病院には陸上自衛隊が看護官を派遣した。
「まるで戦場のようだった」。北海道医療大(当別町)の塚本容子(つかもと・ようこ)教授(公衆衛生学)は昨年11月、感染抑制のため支援に入った。目に飛び込んできたのは、気力や体力の限界に達した医療従事者の姿。医師や看護師は感染の不安を抱えながら「患者が亡くならないように、どうにか診療と食事の提供をしていた」。
感染者と非感染者の活動領域を分ける「ゾーニング」を実施したが、感染者が増えるたびに範囲の変更を余儀なくされた。長期の入院者は大型スーツケース3個分の荷物を持参しており「(個人の持ち物の)消毒に時間を要する上に、作業中に感染が広がっている可能性もあった」という。
徐々に適切な手指衛生のタイミングや防護具の着脱方法が看護師に浸透し始めた。陸上自衛隊の支援も受け、12月に入り状況が落ち着いてきた。塚本教授は院内感染の抑制は「徹底した検査とゾーニングといった初動にかかっている」と指摘。「人手のわりに業務量が多くなれば、防護具の着脱がずさんになったり、換気を忘れたりと、院内感染のリスクが高まる可能性がある」と、全国でも増えている院内感染の背景を分析する。
昨年4月の院内感染の発生で、患者や職員ら43人が感染、そのうち4人が死亡した東京都立墨東病院(墨田区)。中村(なかむら)ふくみ感染症科部長によると、感染の可能性は低いものの、経過を観察する必要のある人向けの専用病棟を設けた。さらに、全スタッフに休憩時や日常生活でも密集を避けるよう呼び掛けたことが奏功。速やかに院内感染を終息させることができた。
現在は「(全身を覆う)防護服は脱ぐのが難しく、過剰な装備で働くのはむしろ危ない」と、マスク、フェースシールド、エプロンの軽装で業務に当たっている。
国立旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田晃敏学長による新型コロナウイルスに関する不適切発言や、滝川市立病院(同滝川市)との月40万円のアドバイザー契約を巡り、同大教授らが9日、学長辞職を求める署名活動を始めた。
署名を集めているのは、同大教授や名誉教授22人でつくる「旭川医科大学の正常化を求める会」。公表された趣意書では、吉田学長が2007年から14年近くにわたり学長職に就き、「大学を私物化し、本学の価値を低め、ガバナンス機能を完全に破綻(はたん)させた」「多くの教職員はパワーハラスメントの被害にあっている」などと指摘。不適切発言や旭川医大病院長の解任問題、アドバイザー問題などを引き起こしたとし、吉田氏がただちに辞職するか、大学の学長選考会議が文部科学相に解任の申し出をするよう求めている。
発起人の一人の長谷部直幸教授(内科)は取材に「なかなか内部から声を出すことができなかったが、ここに至っては、みんなで声を上げるべきだと決意した」と話した。教職員から署名を集め、吉田学長本人と学長選考会議に提出するという。
【モスクワ共同】ロシアの新型コロナウイルス感染症のワクチン「スプートニクV」を開発した国立研究所の研究者らが、臨床試験(治験)最終第3段階の中間結果を検証する論文をまとめ、発症を防ぐ91・6%の有効性が確認されたと英医学誌ランセットで2日に発表した。同ワクチンは高品質で深刻な副作用を引き起こさず、体内に有効な免疫を形成すると評価している。
ロシア政府は昨年8月、スプートニクVを新型コロナワクチンとして世界で初めて国家承認したが、3段階ある臨床試験の第2段階で承認に踏みきったため、安全性や品質に懸念が出ていた。
対象となったのは昨年9月から11月までの間に、本物のワクチンと偽薬の接種を2回受けた1万9866人。発症しても症状は軽く、ワクチン接種による深刻な副作用もなかった。持病がある人や、60歳以上の人も接種を受けたが、特に問題はなかったという。
スプートニクVの開発者は、ワクチン接種でできる免疫は「2年以上効力を維持する」との見方を示している。
ロシア政府は同ワクチンの輸出を積極的に進めており、現在までに旧ソ連、中東、中南米諸国など約20カ国が承認し、接種が進んでいる。
父親の精子の中に、子どもの自閉症スペクトラム障害(以下、自閉症)のバイオマーカーとなり得るDNAメチル化可変領域を見つけたとする研究結果を、米ワシントン州立大学のMichael Skinner氏らが発表した。このバイオマーカーを調べることで、自閉症の子どもが生まれるリスクのある男性を特定できる可能性があるという。研究の詳細は、「Clinical Epigenetics」に1月7日掲載された。
今回の研究でSkinner氏らは、自閉症の子どもを持つ男性13人と、自閉症のない子どもを持つ男性13人から集めた精子検体を用いて、エピジェネティクス(DNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現を制御する仕組み)、特に、DNAメチル化可変領域に焦点を当てて調べた。DNAメチル化とは、DNA中の塩基の一つにメチル基が付加される化学反応で、遺伝子発現のオン/オフを切り替える働きを持つ。DNAメチル化のレベルが個体間で異なる領域などをDNAメチル化可変領域という。
その結果、自閉症の子どもを持つ父親の精子のDNAに、DNAメチル化可変領域が805カ所みつかり(303カ所ではメチル化増加、502カ所ではメチル化減少)、これらが自閉症の子どもが生まれる可能性が高いことを示すバイオマーカーとなり得ることが明らかになった。
そこでSkinner氏らは、このメチル化可変領域をバイオマーカーとして、精子のサンプルデータだけで、自閉症の子を持つ男性と持たない男性を特定できるかを検証した。18人から採取した精子を用いた2回のブラインドテストの結果は、2例の偽陽性を除き、全て正しく特定され、正確度は90%であったという。
Skinner氏は、「これらのDNAメチル化可変領域をバイオマーカーとして用いることで、父親からその子に自閉症が遺伝するかどうかを評価できる可能性が見えてきた。どの因子が自閉症を促進するかを特定する上でも、大きな一歩だ」と述べている。