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歯科用セメントの残留が歯周炎を引き起こす機序解明 ― 東北大学

セラミック治療の接着剤として使用されるレジンセメントは、その強力な接着力ゆえにセラミック装着後の取り残しが生じやすく、セメントの取り残しが 歯周組織の炎症を引き起こすことが問題となっている。しかし、取り残したセメントが歯周組織の炎症を引き起こす機序は、わかっていなかった。

 東北大学大学院 歯学研究科 次世代歯科材料工学講座の近藤 威 助教および分子・再生歯科補綴学分野の江草 宏 教授らの研究グループは、光照射が不十分なレジンセメントには硬化不足から特定のモノマーが残留し、その溶出が歯周組織の炎症を引き起こす機構を明らかにした。
【歯科通信】

ガム咀嚼で年間約52億円の介護費を抑制 ― ロッテらが推計

 ロッテは、「噛むこと」の普及によってもたらされる社会的インパクトの一つとして、ガムによるオーラルフレイル予防に伴う介護費の抑制効果(52億円)を推計した。

 全国の65歳以上の人口のうち、ガム噛み習慣を有している割合を13.98%と仮定して要介護3以上で試算しており、今後ガム噛み習慣が拡大すると社会的インパクトも拡大することが見込まれているという。オーラルフレイルの基準は、咀嚼能力、滑舌、舌の力、残存歯数、主観的な噛む力とむせの6項目のうち3項目以上で低下が認められた場合としている。

 同データは要介護3以上で介護費の抑制効果を推計したもので、要介護1・2の回避につながる可能性や介護離職に伴う労働損失などの影響を考慮すると、社会的インパクトがさらに大きくなることが考えられる。
【歯科通信】

医療的ケア児の情報を一冊に 災害対応サポートブック、徳島文理大生が作成

災害時における医療的ケア児の避難や支援に役立ててもらおうと、徳島文理大保健福祉学部人間福祉学科2年の五島愛莉さん(19)が「医療的ケア児のための災害対応サポートハンドブック」を作った。板野郡5町と郡自立支援協議会子ども支援部会、文理大が協力。冊子(A6判、28ページ)を300部用意し、各町役場で配布するほか、各町のホームページからダウンロードできるようにする。

 ハンドブックでは、胃ろうや経管栄養の種類、吸引チューブのサイズ、酸素吸入量など必要な医療的ケアの項目を用意。身長と体重をはじめ、排せつ回数、食事形態、コミュニケーション方法といった日常生活の様子を書くページも設けた。ケア児の生活必需品や避難先、かかりつけ医なども記入できる。

 意思疎通が難しいケア児の情報を記載し、誰が見てもケア児の状態や対応が分かるようにしている。

 弟の祐磨さん(16)がケア児で、災害発生時に家族が近くにいない場合を想像すると不安に思ったことがきっかけ。祐磨さんが通う「障がい者生活支援センター 凌雲」(藍住町)に相談しながら作成した。

障害者施設の入所男性死亡 歯科治療中、急性呼吸障害

大阪府警は30日、大阪市淀川区にある障害者支援施設で歯科治療を受けていた入所者の男性(69)が搬送先の病院で死亡し、司法解剖した結果、死因は胸や腹を圧迫されたことによる急性呼吸障害だったと発表した。府警は状況を調べる。

 府警によると、施設側は27日午後2時ごろ、歯科治療中だった男性の呼吸が止まったと府警に説明。男性は治療中に体を動かすことがあったため、職員5人が体を押さえていたところ、男性の顔色が悪くなり、動かなくなっていたという。午後2時25分ごろ、職員が119番した。

 施設長は取材に対し「原因を追及し、同じような事故が起きないように取り組む」と話した。

 施設はJR加島駅から南東約500メートルの住宅街の一角。

10代男性の前歯脱落、市立敦賀病院で誤診 「折損」再植治療できず 賠償67万円、和解

市立敦賀病院(福井県敦賀市)は5月28日、昨年6月に前歯2本が脱落して受診した若狭町の10代男性に対し、当直医が折損と誤って診断し、自歯を元に戻す再植治療ができなくなる医療事故があったと発表した。男性側に損害賠償金67万5千円を支払うことで和解が成立し、6月定例市会に関連議案を提案する。

 新井良和院長らが同病院で会見し説明した。

 新井院長らによると、男性は時間外に救急搬送され、当直の内科医の診察を受けた。脱落した前歯を保存に適した牛乳に沈めた状態で持参していたが、内科医は十分に確認せず、折損と診断したという。また、男性は下唇にも傷があり、出血状態から縫合するのが適切だったものの、内科医は経過観察とした。

 男性は帰宅後も唇の出血が続き、翌日に敦賀市外の病院で下唇を縫合した。前歯の診察も受け、この際に歯を再植できた可能性を伝えられたという。

 会見で新井院長は「再植で歯が再生する可能性は高くはないが機会を逸した。患者さんやご家族をはじめ、市民の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。再発防止策として、歯科や口腔(こうくう)外科の専門医以外でも適切に治療できるよう救急マニュアルを見直した。同病院は、新井院長と診療部長を厳重注意とした。

「高齢者は65歳」維持 厚労相、年金や介護で

 武見敬三厚生労働相は28日の記者会見で、65歳以上とされることが多い高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべきだとした経済財政諮問会議の民間議員の提言を否定した。定義の見直しを「考えていない」と説明。公的年金の支給開始年齢や、介護保険の基準となっている「65歳」を維持するとした。

 提言は、23日の諮問会議で経団連会長らが示した。武見氏は会見で、年金財政が長期的に安定しているとして「年金の支給開始年齢の引き上げは考えていない」と述べた。介護保険では原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用しており「直ちにその範囲を見直すことは考えていない」とした。

1歳女児、給食のリンゴを喉に詰まらせ死亡…保育士が口に指を入れかき出したことが逆効果か

 東京都は21日、国分寺市の認可外保育施設で2022年、当時1歳5か月の女児がリンゴを喉に詰まらせて死亡する事故があったと発表した。

 発表によると、事故が起きたのは22年11月29日昼。給食でリンゴ(各辺約2センチ、厚さ約3ミリ)を食べていた女児が眠そうな様子だったため、保育士が口に指を入れてリンゴをかき出した。その後、女児はぐったりして意識を失い、搬送先の病院で死亡した。死因は低酸素脳症。口に指を入れられたことに驚き、リンゴが気道に詰まって窒息した可能性があるという。

 都は有識者による検証委員会を設置し、事故の経緯を調査。21日に公表された報告書は、女児が自宅ですり潰されたリンゴを食べていたとの情報を施設内で共有していなかったと指摘し、「丁寧に家庭での食事の状況を聞き取り、職員が共有できる仕組みが必要だった」と結論付けた。都に対しては、施設側が誤嚥を想定した実践的な研修を行えるよう支援することを求めた。

[子ども]薬の上手な飲ませ方 混ぜる補助食品など活用

粉薬が苦手
 東京都の会社員女性(40)は、4歳の長男に粉薬を飲ませるのにいつも苦労している。「苦いと言って薬をはき出そうとする。飲まなければ良くならないのに」と悩む。

 子どもに出される薬は主に粉薬やシロップだが、粉薬が苦手なことも多い。乳児の頃は比較的飲ませやすくても、1、2歳以降の幼児になると、薬の苦みや口あたり、後味などを嫌って拒否するようになる。

 水だけで粉薬を飲むのが望ましいが、どうしても難しい場合、食品に混ぜて服薬させる方法がある。

 国立成育医療研究センター薬剤部の笠原沙耶香さんによると、抗菌薬や漢方薬はココアやプリン、アイスクリーム、練乳のような味の濃い食品に混ぜると、薬の苦みや酸味、においを覆ってくれるという。

組み合わせ注意
 ただ、食品の組み合わせによって、苦みが増して飲みにくくなったり、薬の効果が弱まったりするので注意が必要だ。オレンジジュースやスポーツ飲料といった酸性の飲み物は、抗菌薬やドライシロップを混ぜると、薬のコーティングが剥がれて苦みが出ることがある。どんな組み合わせが望ましいのか、医師や薬剤師に相談するとよい。同センターでは粉薬と食品の組み合わせに関する情報をホームページで紹介している。

 ゼリーや、薬を薄い膜で包んで飲むオブラートといった服薬補助食品を使ってもよい。クラシエから昨年発売された「おくすりパクッとねるねる」は、同社の知育菓子から生まれた服薬補助食品だ。少量の水と粉と薬(粉薬や顆粒剤)を混ぜ、泡状にして服用するので苦みが軽減される。現場の薬剤師が子どもに薬を飲ませる際、この菓子を使っていたことが開発のきっかけといい、同センターも共同研究に参加した。補助食品はドラッグストアなどで扱っている。

 錠剤が飲めるようになる年齢には個人差があるが、5歳頃から処方される。小児薬物療法認定薬剤師で子どもの服薬に関する著書もある松本康弘さんは、「粉薬は体重の増加によって粉の量が増えるので飲むのが大変な場合もある。錠剤の方が楽ということもある」と話す。

 錠剤が苦手な場合は、口の中を湿らせてから、舌の奥に錠剤を置き、すぐに水を飲ませる。錠剤によっては割線があって割って飲める場合もあるが、砕いたりしてはいけないものもあるので確認しよう。粉薬に戻せる場合もあるので医師や薬剤師に相談する。

「大人飲み」も
 松本さんは、親が薬を飲む理由を説明して子どもが理解できる4、5歳頃になったら、子どもの自尊心をくすぐる「大人飲み」をすすめる。自分の子どもと同年代の子が薬を飲んでいる写真を見せて同じように飲んでみることを促す。自分と同じぐらいの年齢の子が、大人と同じように口に含んだ薬を水で飲んでいるのを見ると、刺激されて、「自分もやってみよう」という気持ちになる子どもが多いという。

 薬を飲むタイミングについて、効果を出すために食後に飲むよう指導されることが多いが、食後だとおなかがいっぱいで飲みづらい場合がある。子どもの薬の多くは食前に飲んでも問題ない。松本さんは、「時間をおいて挑戦してもいいし、全部飲めなくても1回分の8割程度でも大丈夫。薬によっては苦みの少ないものなどに変更できる。保護者が神経質にならないようにしましょう」と話す。

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