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骨と同じ成分の人工骨を開発 インプラント治療に活用 九州大など

九州大大学院歯学研究院の石川邦夫 教授(生体材料学)らのグループは、骨の主成分である「炭酸アパタイト」と同じ成分の人工骨を世界で初めて開発したと発表した。歯科インプラント用に使える人工骨として昨年12月に薬事承認を得られ、2月21日に国内販売を開始。顎骨欠損部に埋め込めば速やかに骨に置き換わるという。

 研究グループは、カルシウムやナトリウムの化学反応で顆粒(かりゅう)状の炭酸アパタイトを開発。顆粒を骨欠損部に詰め、上皮を縫合するだけで、既存の骨が周辺で新生されるとともに、顆粒そのものも骨に置き換わるという。実際のインプラント治療22症例の全てで骨に置き換わっていた。

(西日本新聞社 3月14日より)

立正大ラグビー部新人にマウスガード 熊谷市医師会

地元の大学ラグビーチームを応援しようと、熊谷市歯科医師会(平井友久会長)が同市にキャンパスがある立正大学ラグビー部新入部員32人のマウスガードを制作した。

 2011年から始まり今回で8回目。5年前に同市に「市民の歯と口の健康を推進する条例」が制定されたことから、全国に先駆け、歯と口の健康を通じて地域住民のスポーツによる健康づくりを支援している。

 部員らは同市宮前町の中村歯科医院(中村直史院長代理)に集合。仁木俊雄さん(仁木矯正歯科)ら7人の歯科医が手分けして歯型を取った。

 マウスガードはスポーツにおける瞬発力を高める効果があるほか、強い衝撃から歯や脳を守る。通常は自費診療だが、条例によりその一部を同市の補助金で賄っている。

 伊東蓮さん(1年)は「このような良い環境でラグビーに専念できることがありがたいです」。森歯科医院の森哲也さん(50)は、「けがなく良いパフォーマンスで地元大学が1部に上がり活躍する姿を見たい」と話した。

旭川市役所内全面禁煙スタート 議会喫煙室は暫定措置

旭川市は本年度から市役所内を全面禁煙とし、庁舎内にたばこの喫煙所を設けない「建物内禁煙」を始めた。市民は歓迎する一方、喫煙家の市議からは議会棟では喫煙が継続できるよう望む声も上がっている。

 市は1日付で総合庁舎6階と第3庁舎2階の喫煙室を廃止。その一方で、建物の外の総合庁舎敷地内の地下駐車場入り口付近に、喫煙用のプレハブ小屋(6平方メートル)を設置した。今月中旬には第3庁舎外の敷地内にも作る。

30年、全都道府県で人口減 市区町村では9割以上 45年までの将来推計

国立社会保障・人口問題研究所は30日、2045年までの都道府県や市区町村別の将来推計人口を発表した。東京や沖縄の人口増は30年まで続くが、その後減少に転じ、全ての都道府県で人口が減っていくと試算。総人口は2千万人減の1億642万1千人となり、秋田が4割以上減るなど東京を除く46道府県で15年よりも少なくなる。市区町村の94・4%で人口が減り、4割以上減るところも40・9%に上った。

 約5年に1度、国勢調査や想定される出生率などを基に地域ごとの推計人口を算出する。近年の出生率の上昇を受け、13年の前回発表と比べて減少ペースは緩和したものの、65歳以上の割合は全ての都道府県で3割を超えるとされ、少子高齢化の傾向は変わらない。

 同研究所は昨年4月、国勢調査などを基に65年の人口を8808万人とする推計を発表。今回発表された推計値の合計はその時に発表された45年の推計人口と合致する。

 今回の推計では、20年以降も増えるのは東京、沖縄だけだが、この2都県も30~35年の間に減少に転じる。前回発表では、全都道府県で減少するのは20~25年とされていたが、時期が10年先延ばしとなった。

 15年人口を100とした場合の45年人口を示す指数をみると、日本全体は83・7(減少率16・3%)。人口減が著しいのは秋田の58・8(同41・2%)。青森の63・0(同37・0%)、山形と高知の68・4(同31・6%)が続いた。増加するのは東京の100・7(増加率0・7%)だけだった。

 大都市圏への流入も進み、総人口に占める割合は東京が12・8%、神奈川が7・8%、大阪が6・9%。4人に1人が住むようになる。

 45年に65歳以上の割合が高くなるのは、秋田の50・1%、青森の46・8%、福島の44・2%。低いのは東京の30・7%、沖縄の31・4%、愛知の33・1%。0~14歳の割合は全国で減り、最少は秋田の7・4%、最高の沖縄でも15・3%にとどまる。

 東京電力福島第1原発事故の影響を受けた福島県内を除く市区町村別では、対象となる1682のうち1588で人口が減少。最も減少率が高い奈良県川上村は人口が5分の1となり、増加率トップの東京都中央区は34・9%増となる。

 人口5千人未満の市区町村は249から1・8倍の444に。65歳以上が半数以上となる自治体は465となり、15年の15から大幅に増える。

 ※将来推計人口

 国勢調査や人口動態統計などのデータから将来の出生率や死亡率を仮定し、日本全体の人口、都道府県別・市区町村別の人口が数十年後にどうなるか、国立社会保障・人口問題研究所がおおむね5年ごとに算出する。社会保障政策や、政府がつくる各種の長期計画の基礎資料となる。

国保料上昇、43%の自治体 公費投入で穴埋め構造残る 都道府県移管、厚労省集計

自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の運営主体が4月に市区町村から都道府県に移るのを前に、厚生労働省が市区町村の1人当たり保険料水準の変化を集計したところ、43%の自治体で上がる可能性があることが30日分かった。約54%は下がり、約3%は据え置きとなる。

 制度変更に伴い保険料が急激に上がりかねないと懸念していた自治体も多かったが、移管支援を目的に国が約3400億円の公費を投入するため保険料の伸びは一定程度、抑制される。国保財政は赤字体質で市区町村が独自に穴埋めして帳尻を合わせてきたが、加入者以外も負担する税金を投入する構造は4月以降も残ったままだ。

 都道府県が、管内市区町村の保険料の目安や都道府県に納める「納付金」の1人当たりの金額を2016年度と18年度で比較。2年分の増減幅を1年分に置き換え、厚労省に報告した。北海道と宮城は市町村の増減幅を回答していないため、厚労省は45都府県の1524市区町村をまとめ、発表した。

 保険料水準が上がるのは656市区町村。このうち90%超の601市区町村で上昇幅が3%以内だった。一方、下がるのは54・3%の828市区町村、据え置きは2・6%の40市町村。厚労省は「高齢化や医療の高度化によって医療費は毎年3%程度伸びている。公費で保険料を抑える効果があった」としている。

 実際の保険料額は、今回の保険料水準をもとに、市区町村が6月までに決める。保険料の上昇を抑えるため、独自に市区町村が一般会計などから繰り入れた場合、据え置きや減少となる可能性もある。厚労省によると、16年度の全国の平均保険料は年9万4140円。

 都道府県別の保険料水準の平均は、18都県で上がり、28府県で下がる(北海道は未回答)。最も上がるのは熊本の2・4%増、下がるのは沖縄の8・1%減だった。

 国保は、高齢者や低所得者の割合が多い上、医療費の水準も高く赤字構造となっている。厚労省は、規模の大きい都道府県へ運営を移管し、財政基盤強化を目指している。

 ※国民健康保険

 75歳未満の自営業者や非正規労働者、無職の人ら約3千万人が加入する公的医療保険。加入者の所得水準が低い一方、年齢が高く医療費水準も高いために赤字運営が続く。2016年度の赤字額は1468億円で、穴埋めのため全国の市区町村の一般会計から計2537億円が繰り入れられた。規模を大きくして財政を安定化させる目的で、4月1日に市区町村から都道府県に運営が移管される。保険料徴収や書類交付など住民に身近な業務は、引き続き市区町村が担う。

知的障害者の全身麻酔治療:大病院しのぐ手術数 さくらの歯科医師菊地さん、情熱傾け /栃木

知的障害による意思疎通の難しさなどを抱える患者に歯科治療をする場合、全身麻酔が必要になることがある。さくら市氏家の「スペシャルニーズセンター」の歯科医師、菊地公治さん(41)は、小規模クリニックで大病院をしのぐ症例数の全身麻酔下での歯科治療を行っている。背景には、十分とは言えない障害者の歯科治療環境を整えようとの菊地さんの思いがある。【高橋隆輔】

 知的障害のある男性(18)の手術の日。車内で落ち着いているうちに鎮静を施し、院内の手術台に誘導。暴れそうになるのを歯科医師や歯科衛生士ら6人がかりで制し、ようやく麻酔が効くと施術が始まる。一部の診断もそこからで、並行しての処置が続く。歯石除去、神経治療、型取り。通常の歯科治療数回分の処置を集中してこなし、約1時間半後に手術が終了。ようやく室内の緊張が解けた。

 この手術には歯科医3人と歯科衛生士2人が立ち会った。ただ、障害者の歯科治療には特別な加算は認められない。人件費に加えて薬剤や機材も高額なため、単発の手術では採算性は低いのが実態だ。

 菊地さんはかつて大病院の口腔(こうくう)外科に勤務。全身麻酔下での歯科治療にも当たったが、命に関わる手術が相次ぐ大病院では、手術枠の確保でどうしても優先順位が下がった。治療回数が確保できれば残せる歯も、やむを得ず抜いた。障害者歯科の普及の必要性を方々で訴えたが、「死亡リスクがゼロではない全身麻酔を敬遠する雰囲気があった」と2016年に同センターを自ら開設した。

 同センターでは週3日、1日最大3件の全身麻酔下の歯科治療を行っている。その件数は16年が306件、17年は452件で、大病院の数年分にも匹敵。鹿児島市で障害者の全身麻酔手術を行っている「おく小児矯正歯科」の奥猛志院長は「件数も多い上、菊地さんはかなりの部分を一人でこなしている点ですごいと思っている」と舌を巻く。

 件数が多い理由は、スタッフの確保や、薬剤の使用期限などを考えると、一定期間内の症例を増やさなければ採算性が上がらないため。「事業になる新しいモデルが作れれば、『割に合わない』と二の足を踏む人が参入できる」との考えからだ。菊地さんは「診療点数はこちらの事情。彼らは障害者になりたくてなったわけではないので」と話し、挑戦を続けている。

75歳以上、高齢者の半数超 社会保障、生活支援が課題 3月人口推計

総務省が20日公表した3月1日時点の人口推計(概算値)によると、75歳以上の後期高齢者は1770万人で、65~74歳の1764万人を上回り、高齢者全体の半数を超えた。人口推計で75歳以上が65~74歳を上回るのは初めて。75歳を過ぎると寝たきりや認知症など心身が衰えやすくなり、社会保障費の膨張が国と地方の財政を圧迫する中、安定的な医療、介護制度の構築が課題となる。1人暮らしの生活支援といった対策も急務だ。

 3月1日時点の総人口(1億2652万人)に占める75歳以上の割合は14・0%。戦後間もないベビーブーム期に生まれた団塊の世代全員が2025年に後期高齢者になるなど、今後もこの割合は拡大する見込みだ。

 推計によると、75歳以上のうち男性は693万人、女性は1077万人。85歳以上は男性173万人、女性387万人の計559万人だった。

 年代別の総人口に占める割合は、15歳未満が12・3%、15~64歳が59・8%、65歳以上は27・9%だった。

 10年前(08年3月)の人口推計では、65~74歳が1482万人だったのに対し、75歳以上は1297万人だった。医療技術の進歩や体力の向上で寿命が延びていることから、後期高齢者は近年、月5万人前後のペースで増加。日本老年医学会は昨年、高齢者の定義を75歳以上に見直すよう提言している。

 75歳になっても元気な人は多く、政府は2月に決めた高齢社会対策大綱に「年齢に関わりなく希望に応じて働き続けられるよう雇用、就業環境を整備する」と明記した。ただ、心身の衰えや1人暮らしでサポートを必要とする人も増えるため、生活支援や、孤立を防ぐ対策が重要だ。

シェーグレン症候群診療GL2017公開

医療情報サービス(Minds)はこのほど、シェーグレン症候群診療ガイドライン(GL)2017年版を公式サイトで公開した。同GLは、厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班が編集。同GLは、シェーグレン症候群やドライアイ・ドライマウスの専門医だけでなく一般臨床医も対象に、診断や治療に関する38のクリニカル・クエスチョン(CQ)を設定している。

 シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺など外分泌腺にリンパ球が湿潤し、それに伴い腺組織が特異的に障害を受ける自己免疫疾患。主な症状として、ドライマウス(口腔乾燥)やドライアイ(乾燥性角結膜炎)が挙げられる。診断の契機は、ドライマウスなどの乾燥症状の他、倦怠感や関節痛などの全身症状、血球減少などの検査異常、間質性肺炎や神経障害などの腺外病変。シェーグレン症候群が疑われる場合、厚生労働省改訂診断基準(JPN)(1999年)の項目を中心に必要な検査を行い、腺外病変の評価や他の膠原病合併の評価を行う。そして、一次性、二次性、腺型、腺外型の病型診断に基づき治療方針を決定するのが、診療の全体的な流れとなる。

 今回のGLの想定する利用者は、かかりつけ医や膠原病内科医、眼科医、歯科口腔外科医、耳鼻咽喉科医、小児科医、コメディカルなど、シェーグレン症候群の診療に関わる全ての医療従事者。シェーグレン症候群やドライアイ・ドライマウスの専門医だけでなく、一般臨床医も対象としている。

 「第3章 推奨」の項目では、「診断、治療方針の決定に有用な口腔検査は何か」「予後に影響する腺外病変にはどのようなものがあるか」など診断や治療に関する38のCQを設定。なお、「第5章 付録」は、クリニカルクエスチョン設定表や外部評価まとめを別添として記載している。

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